ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみご覧ください。漫画の話と分かっていても,科学的に突っ込みたくなることって,ありますよね。
本編
エリス神殿は争いの大樹にあります。
神殿のあちらこちらに木の根っこが張り巡らせており……,気をつけないと引っかかって転ぶこと間違いなしです。
そんなエリス神殿にミロが一人で乗り込んでいきます。
フフ…,生意気な坊やだこと。串刺しにしてお母様に捧げてやるわ!
『セインティア翔(4)』P85
ミロさん,アテに坊や呼ばわりされていますけど……。
アテは神話の時代から生きているので,人間はアテの前なら誰だって坊や扱いになりそうです。
ミロvs.アテ
アニメでは尺の都合であっさりと終わってしまいましたが……。
アテが必殺技でミロに攻撃を仕掛けますが,そこはミロがお得意の爪を光らせて,的確に切っていきます。爪で切っています。
何も処理を施していないと,爪なんて簡単に割れてしまうので,聖衣と同様の強さになるような特殊処理がなされていたりして…。
さらにアテはミロを蔦でぐるぐる巻に……。ですがそこは黄金ですので,ちょっと気合いを入れれば蔦なんて簡単に切れてしまいます。しかし,蔦はそんなミロに反応して他の場所を縛り付けます。
まだお互いにジャブの打ち合いで,全く本気は出していません。
お前の身体をこの手で引き裂けるときを待っていたぞ。5年前,永き時を経て迎えたお母様の目覚めの機会を目前で奪われたあの時からな!
『セインティア翔(4)』P90
ここで5年前の因縁が明らかになります。
目の前にアテは5年前の老婆の姿とは似ても似つかぬ若い女性。人間の闘いによって流れた血によって肉体が若返ったのだそう。見た目は美しくとも,中身は醜い典型ですね。
ここでアテの蔦攻撃によって,ミロのマスクが外れます。
頭部を守っている意味あるんかい!というほど,外れやすいマスクです。アゴ紐つけろや。
(中略)
お母様が完全復活すれば我らは再び力を取り戻し,永遠に美しく咲き誇ることができる…。かつて貴様らが追われたこの楽園で…
(中略)
『セインティア翔(4)』P92
これに対するミロの言葉。
お前…,本当はエリスなどどうでもいいのではないか?
『セインティア翔(4)』P91
確かに,アテの言葉は自己中心的で,エリスを心配する言葉など何一つありません。自分の欲望のためにエリスを利用しているとしか思えません。
セインティア翔のミロはかっこよくて好きです。大人の落ち着きがありますし。
落ち着きのあるミロに対し,アテは短気です。そんなミロの挑発に簡単に乗っかっています。人間よりも遥かに長い時を生きているのに,何も学んでいないように感じます。
誇りを持たぬ私欲の権化…。戦士ですらない存在にこの俺が,黄金聖闘士が倒せるわけがなかろう!
『セインティア翔(4)』P94,95
いいね,ここのミロりん。本人はカッコつけているわけではないのにかっこいいです。アテの技を弾くだけでなく,技まで打ち込んでいます。
その後に続くミロのセリフも名言だと思っています。
人は己の守るべきもののために,どこまでも強くなることができるのだ
『セインティア翔(4)』P98
このあとしっかり「降伏か死か」なんて言ってますが,この場にそんな余裕なんてないでしょう。実際そんな余裕なんてなくて,問答無用でアンタレス撃ってますけどね。
ただ残念ながらアテは不死身なので死ぬことはなく,再びエリスに力をもらうために争いの大樹と同化してしまいます。植物だから,一部が残っていると再生してしまうのですね。
一方そのころ,翔子と美衣は激しい小宇宙のぶつかり合いを感じて,先を急ぎます。
正義vs.正義
傷ついたエリス様の生命力をこれ以上吸い取らせるわけにはいかぬ。
『セインティア翔(4)』P106
そう言ってリゲルはミロにやられたアテに追い打ちを掛けるように攻撃します。そんなリゲルの目は虚ろで逝っちゃってます。そしてどこか思いつめています。
ここで,ミロの考える正義と,リゲルの考える正義がぶつかり合います。どちらが正しくて,どちらが間違っているというものではありません。正義は人それぞれです。
それぞれの正義がぶつかり合うのも,聖闘士星矢という作品の魅力です。
エリスが完全復活してしまえば,その力によって多くの人間が命を落とすことになる。それを止めるためならば,聖闘士は殺戮者にもなる…自明のことだ!
数人の命と引換えに,多くの命を助けるのが聖域の正義です。
ただ一人を守るために…邪悪に身を委ねよう…!私は認めぬ…犠牲をいとわぬ正義など…。そうだ…私は…,私の願いは唯一つ…,何があっても彼女を守る…そう生きると決めたのだ!!
サンデル教授の
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マイケル・J.サンデル”]
を彷彿とさせる命題ですね。どちらが正しくてどちらが間違っているというものではありません。正義なんて,立場と状況によって全く違うものになってしまうものですからね。
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