この世に邪悪がはびこる時,数百年に一度地上に降臨されるというアテナの化身。今世では,紆余曲折あった末に,グラード財団の総帥,城戸沙織として歩むことになります。
敵陣に乗り込んでいっては,みすみす敵に捕らわれるアテナです。捕らわれない話があったのだろうかと思うほど,毎回囚われの身になっています。
聖闘士たちを巻き込みたくないと言って単身乗り込んで捕まり,捕まった女神を助けるために反って聖闘士たちを巻き込んでしまうというアテナです。
そのような点から,車田ギリシア神話のアテナは,本来のギリシア神話のアテナとはずいぶんと違うようです。比較してみても面白いかもしれませんね。
アテナ沙織のプロフィール
身長:155cm,体重:44kg,誕生日:9月1日(乙女座),年齢:13歳,出身地:ギリシア・聖域
まだ義務教育中の中学1年生にして,グラード財団総帥,つまりは最高権力者。13歳にして,さまざまな難しい判断を瞬時に行って,周りの大人たちに命令を下しているという,なんとも恐ろしい立場にあります。そこは知恵の女神だからできることなのでしょうか。
いくら英才教育を施されているからと言って,13歳でこんなに重責のある立場で潰れないということ事態が,さすが神です。
13歳にして,プロポーションがすでに成熟た体つきをしています。甲冑を身に着け,成人した状態でゼウスの頭から生まれた女神だけに,成長が早いのかもしれません。
Netflix版では年齢が上がっており,おそらく21歳ぐらいになっています。
CV:潘恵子(初代),折笠富美子(2代目),佐々木彩夏(Legend of Sanctuary),水瀬いのり(セインティア翔)
最初はただの普通の少女,神として覚醒していくにつれ威厳のある演技となってほしいところです,初代の藩さんは少女としての沙織と,神としての沙織を見事に演じられていたと感じています。
セインティア翔はまだ普通の少女としての沙織の場面がほとんどなのですが,これから女神へと覚醒していくにつれ,どのような演技になっていくのか楽しみでもあります。
映画『Legend of Sanctuary』は問題外です。最後の演説はただのライブのMCのようで,神としての威厳は感じませんでした。
アテナ沙織の初登場
原作では第2話,アニメでは第1話からの登場となります。
アテナとしてではなく,グラード財団の総帥,城戸沙織としての登場です。
何度も書きますが,わずか13歳の少女にして大財閥の総帥です。最高権力者です。
そして幼きころ,城戸邸に集められた孤児たちを馬にして,乗馬遊びをするわがままで傲慢な子供時代が描かれています。立場を利用して,孤児たちをみごとにいじめています。
アテナ沙織の立ち位置
本家ギリシア神話では,アテナはゼウスの長子であり,姉や兄は存在しないはずなのですが,車田ギリシア神話ではアルテミスがアテナの姉(本家では妹)とされたり,アニメオリジナルのアベルという兄が登場したりします。
聖闘士星矢世界のアテナが姉らしい性格付けをされていないからなのかもしれません。
本家ギリシア神話のアテナは成人した姿で誕生しますが,聖闘士星矢世界のアテナは赤ん坊の姿で聖域に降臨します。アテナ神像の足元に赤ん坊がいるわけなのですから,気づくのが遅れたら,大変なことになっていたかもしれません。
赤ん坊の状態でも,スニオン岬に幽閉されたカノンを助けることは出来たのに,聖域から救い出したアイオロスは見殺しにしています。カノンは後に自分のために戦ってくれるけど,アイオロスはその可能性が低いと,ひょっとしたら忖度が働いていたのかもしれません。
聖域十二宮編
最初の頃はグラード財団の総帥として青銅聖闘士たちに命令をしようとします。
暗黒聖闘士の戦い,白銀聖闘士たちと戦って命からがらグラードコロッセオに戻ってきた青銅聖闘士たちは,沙織の言うことを聞こうとしません。
死ぬ思いをしたのだから,当たり前です。
そんな青銅聖闘士地に対し,沙織は小宇宙を燃やして,自分が女神であることを証明しようとします。その一方でカラスにあっけなくさらわれそうになるなど,隙がありすぎです。
小宇宙を消してしまわなければ,カラスにさらわれるなんて言うことはなかったと思います。
小宇宙を燃やしている時は,カラスを撃退したり,攻撃をしようとするアイオリアが畏怖してしまうほどなのに,トレミーの黄金の矢をあっさり受けてしまうとは,やはり隙がありすぎます。
海皇編
ギリシアの大富豪ジュリアン・ソロ(16歳)の誕生日パーティーに出かけ,そこでジュリアンから求婚されます。13歳で16歳のプロポーズを受けています。普通の感覚ではプロポーズする方もする方ですが,される方もびっくりです。
16歳にしてソロ財閥の総帥です。13歳にしてグラード財団総帥である沙織を前にしていう辰巳の台詞が笑えます。
この大富豪同士の結婚がもし実現したら,世界の大財閥になっていたかもしれませんね。
ソロ家で宿泊していると,これまたあっけなく海闘士にさらわれて気を失ってしまうとか。本当に神なのかと小一時間問い詰めたくなります。
青銅聖闘士たちが治療を受けている療養所に襲いかかったソレントに,ポセイドンのいる海底神殿に連れて行ってもらいます。単身乗り込んでいっています。なぜかマントを身に着けています。
ポセイドンから世界征服の話を聞きながら一緒に歩いているうちに,メインブレドウィナに閉じ込められるという失態をおかします。相変わらず隙きだらけです。知略の女神が知略にはまっています。
メインブレドウィナの中で何をしていたかといえば,水を浴びながらただ祈っていだだけです。
メインブレドウィナから助け出されると,アテナとしての力が覚醒しつつある沙織は,ポセイドンの魂をアテナの壺に閉じ込めることに成功します。柱の中で神々しく少し成長しています。
冥王編
アテナ神殿の石のベットに薄い毛布をかけて沙織は寝ています。邸のフカフカのベッドで暖かい布団をかけて寝ていたであろう環境とは,雲泥の差です。それでも寝れるって,さすが神です。
シャカから送られた血文字の「阿頼耶識」をみて,即座に理解できるところは,流石に知恵の神ですが,それを活かしきれていないのが残念でなりません。シャカがお供に就いていたとはいえ,ほぼ単身で冥界に乗り込んでいっています。
冥界の先のエリシオンには,それこそ単身で乗り込んでいっています。生身の人間では行くことが出来ない空間だから仕方のないことかもしれませんが,囚われの身になるのはどうかと思います。
ギリシア神話の神様たちはえこひいきをする神様でもあります。アテナ沙織は青銅聖闘士たちを非常に贔屓しています。特に星矢を贔屓しています。
ハーデスの依代になってしまった瞬を討つことが出来ないなど,心優しい面もありますが,甘いとも言えます。これが他の人だったら,白銀聖闘士だったら,攻撃していたかもしれませんね。
最後はハーデスを串刺し。瞬ではなくハーデス本体なら,心置きなく攻撃できてしまうアテナです。
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ギリシア神話の女神アテナ
車田ギリシア神話ではなく,本来のギリシア神話において,アテナはどのような神なのでしょうか。
アテナはオリンポス十二神柱の一人であり,知恵と戦術の知略を司る神であり,芸術の女神です。そして城塞都市アテナイの守護神でもあります。
ゼウスが妊娠中の知性の女神メティスを飲み込んでしまいましたが,胎児はゼウスの体の中で成長を続けます。その胎児が大きくなって生まれる時,ゼウスの頭に上り,激しい頭痛に襲われたゼウスはヘパイトスに頼んで頭を割ってもらい,誕生したのがアテナだと云われています。
誕生時,すでに甲冑を身に着けた成人した姿で誕生したと云われています。
アテナ像は甲冑を身に着け,手にはやりを持ち,アイギス(イージス)の盾を持った姿で表されます。アイギスの盾にはペルセウスから献上されたメデューサの首が取り付けられており,見た相手を石化させる能力を持ちます。有翼の勝利の女神ニケがその傍についています。
聖闘士星矢では,ニケが黄金の杖に姿を変えています。ちなみに,ニケはスポーツ用品メーカーのナイキの語源にもなっています。英語読みすると,ナイキになりますよね。
フクロウが聖獣とされ,平和の象徴であるオリーブと知恵を表わす蛇もアテナの象徴であるとされています。エピソードGAでサガがフクロウになっているのも,これが元になっているのでしょう。
アテナは戦いの女神ですが,アレスのような残虐な争いではなく,知略戦略を好み,その戦いは常に何かを守るための戦いであったとされています。その前提は聖闘士星矢世界でも同じですが,知略戦略を感じないのはなぜでしょう。
ポセイドンとの争い
ポセイドンと城塞都市アテナイの守護神の座をめぐって争います。どちらを守護神に選ぶのかはアテナイ市民が決めます。
ポセイドンは泉を与え,アテナはオリーブの木を植えました。その結果,アテナイはアテナを守護神として選び,ポセイドンは闘いに負けることになります。オリーブにどのような価値があるのか我々日本人にはいまいちピンときませんが,古代ギリシア人にとっては重要な食物だったのかもしれません。
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