昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。
当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。
尺延ばしの回想シーンが,ふんだんに盛り込まれています。
あらすじ
春麗を滝壺に落とされて怒りに震える紫龍。しかしそんな怒りの紫龍の攻撃に対しても,デスマスクはびくともしません。反撃されて,黄泉平坂の入り口へと案内されてしまいます。
紫龍は穴に落とされようとしながらも,デスマスクを攻撃すると,なんとデスマスクの黄金聖衣が体を離れ,紫龍の攻撃が当たります。
紫龍は自らも聖衣を脱ぎ,小宇宙対決にのぞみ,セブンセンシズの域に達して勝利します。
デスマスクを倒して現世に戻るろ,巨蟹宮からは死に顔が消え,また紫龍の視力が回復していました。
本編

お前はこの紫龍の逆鱗に触れたのだ!お前の命が絶えるまで,俺の怒りは消えることはない!
14歳の青銅聖闘士が,23歳の黄金聖闘士に向かっていうような言葉遣いではないです。

命など,次から次へと生まれ,また消え去っていくに過ぎぬものを…。フッ,女々しいやつよ。
女々しいかどうかはわかりませんが,デスマスクの言っていることはわからなくもないです。ある意味デスマスクは,「命」というものに対して悟りきっているのかもしれません。
相手を積尸気に送ったり,自分も積尸気に出入りしているうちに…。
黄泉平坂をめぐる攻防
黄泉平坂の穴は,一度落ちたら蘇生することのない死界への落とし穴。
紫龍は,デスマスクをこの穴へ落とせば良いことに気づいています。

今度はお前が落ちる番だ!死界へ行って,お前が殺した罪のない人々に詫びるがいい!!
そういう紫龍は「罪のない人々を殺した」という観点で見ると,人のことを言えないのではないかと思います。
確かに,青銅聖闘士たちに刺客として送られてきた敵とは言え,偽教皇に騙されていただけで,紫龍が倒した聖闘士たちに罪はないのではないでしょうか。
頭に血が登った紫龍の廬山昇龍覇を,またもやデスマスクは簡単に防いでします。
しかも,片手腕一本で手のひらに受けて,なんともありません。
デスマスクが,廬山昇龍覇の威力をちょうど対消滅させるに十分な拳を放っていたとしか思えません。大きくても小さくてもだめです。
なかなかのコントロール力です。

言ったはずだ。すでに見切った昇龍覇など,通用せんとな。
威力を対消滅させるぐらいに見切っているとは,素晴らしい。
黄金聖衣

俺の体にどれだけ痣をつけようと,決定的なダメージを与えることはできん。なぜなら俺が,究極の聖衣,黄金聖衣を身に纏っているからだ!
決定的なダメージではないかもしれないけれど,痣がつくほどなんだから,それなりのダメージを受けていることになっているではないか。
てか,そもそも黄金聖衣を身に纏っているのなら,痣すらつかないのではないでしょうか。
自分の技が効かなくても,諦めない紫龍。
そんな紫龍の拳を,光速の動きで軽やかにかわすデスマスク。
良いね。黄金聖闘士の強さをよく表しているよ。

無駄なことはやめろ。まだわからんのか。この蟹座の聖衣をまとっている限り,お前がいくら券を繰り出そうと,俺を倒すことは不可能なのだ!
黄金聖衣があるから倒せない。
それ,負けフラグです!
そしてそこからデスマスクのアッパーカット。
紫龍の廬山昇龍覇より,たぶん威力があります。
光速のアッパーカットを受けてたはずなのに,なぜか飛ばされた距離は数十メートルほどといったところか。
本当に光速の拳を受けたら,ふっ飛ばされるだけではすまず,宇宙の塵になっているレベルですから。
黄泉平坂の穴の縁にて

紫龍は,今にも穴に落ちていくような状況で,なんとか耐えています。
アッパーカットで紫龍が落ちなかったのは,デスマスクの計算ミスか。
デスマスクらしくないのは,相手が青銅聖闘士だということで,舐めてかかっていたということの現れでしょう。
デスマスクは,なんとかしがみついている紫龍の手を踏みつけようとしますが,そこにまた新たな邪魔者が現れます。
亡者です。

薄い本が厚くなりそうなネタを提供してくれています。

デスマスクに対する恨みで,未だに成仏できずに,現世と死界の間のこの場を彷徨っているのだ!死んでも死にきれぬとは,まさにこのことか!
デスマスク!己の罪の深さを思い知れ!この亡者たちの怨念が恐ろしくはないのか!
紫龍の言葉を受けて,あっさり亡者共を黄泉平坂の穴へと放り込むデスマスク。しかも笑いながら。
死にきれなかろうと,問答無用の力技で落としてしまえば問題ありません。
その光景に,ショックを受ける紫龍。

この男には,死者に対する恐怖も,自分の犯した罪に対する動揺も,なにもないのか。わからない…,正義を守るべき聖闘士に,なぜこのような男がいるのだ…。
なぜこのような男に,黄金聖衣と力が与えられたのだ。
なぜだ!
おそらく,黄金聖衣を賜ったときと今とで,正義に対する考え方が変わっただけだと思います。
デスマスクは10歳ですでに黄金聖闘士。その時はきっと純真だったに違いない。
亡者を落としたデスマスクは,再び紫龍の手を踏みつけて,穴へ落とそうとします。
しつこく紫龍の手を踏みつけて,落とそうとします。
美しくないですね。
正義とはなにか

黄金聖闘士とは一体何なのか?たとえ悪でも,黄金聖闘士として通用するのか?そんなはずはない!俺が目指した真の聖闘士とは。
ここで紫龍の回想シーンが入ります。
五老峰で、デスマスクが正義について語っていたときのことを思い出しています。
年齢を重ねた今だからこそ、デスマスクが言っていることは、ある意味正しいことだと理解できます。
不変の正義もありますが、時代に応じて変わる正義もあると、私は考えています。
正義なき力は滅びる
紫龍は、老師の言葉を心のなかで反芻すると同時に、沙織の声を聞きます。

迷うことはありません。真の聖闘士とは、あなたのように、本当の勇気と、愛の力を知るものなのです。それを今、証明してみせるのです。
紫龍の場合、春麗からの愛の力は青銅聖闘士一ではないだろうか…。
黄金聖衣がーーっ!!
沙織の言葉を聞いた紫龍は、力を振り絞って腕の力で穴から空中へ…。
紫龍の蹴りを食らわそうとジャンプしたデスマスクの脚に手刀を食らわせます。
さすがは聖闘士、すごい腕の力です。
最初からそうすればよかったのに…。
はずれた黄金聖衣
ジャンプして空中で激突したはずなのに、次の瞬間はなぜか地面にいます。
そして、紫龍の手刀に合わせて外れて飛んでいく蟹座の左脚パーツ。

バ、バカな…。黄金聖衣のフットが自然に外れるとは…。あ、足が…、折れた…。
青銅聖闘士たちは黄金聖闘士たちの攻撃を、聖衣がガードしていない部分に食らってもなんともないのに、青銅聖闘士の手刀を食らったくらいで骨が折れるとは、情けないぞーーっ!
青銅聖闘士の方がおかしいんですけどね。
青銅聖闘士とはいえ,音速はあるので衝撃波もそれなりにあるはずです。本来なら,骨が折れるだけでは済まないはずです。

デスマスクよ!やはり黄金聖衣は、正義のためのものなのだ。
紫龍のパンチを腕で受けるデスマスクですが、今度は腕のパーツも外れてしまいます。

おそらく,黄金聖衣の意志だ!
こんなことを14歳の紫龍に言われてしまう,23歳のデスマスク…。情けないぞーっ!

星矢から話を聞いたことがある。日本で,アイオリアと戦ったときのことだ。
原作にはなかった挿入シーンです。
尺延ばしのためかもしれませんが,黄金聖衣に意思があることを示す,いい例です。

そうだデスマスク。おまえの悪の心に,もはや聖衣自身がお前を黄金聖闘士として認めなくなったということだ。(中略)
お前はアテナにも,聖衣にも見放されてしまった!
紫龍にこう言われて,ショックを受けるデスマスク。
聖衣が纏うべき聖闘士を選んでいるというのは,聖闘士にとっての常識だと思っていたのだが…,黄金聖闘士のデスマスクはなぜか知らなかったらしい。
というか,信じていなかったのだと思います。
蟹座の黄金聖衣がすべてデスマスクの体から離れ,オブジェ形態になります。
安定の露出狂

いくら同情の余地がないとは言え,そんな無防備な相手に手を下すなど,この紫龍の誇りが許さない!
お前も聖衣を脱ぐんか~い!(お約束)
聖衣を纏う意味って…,なんだろう…。
小宇宙対決
紫龍も聖衣を脱いだことで,勝敗は純粋に小宇宙のみとなりました。
本来んら,ここでも小宇宙の真髄を極めているデスマスクの方が有利なのですけど,紫龍はムウに小宇宙について教えてもらったことを思いだし,セブンセンシズに目覚めようと努力します。
ここも尺延ばしのためなのでしょうか,解説が長いです。
ということで,お互い小宇宙を最大限に燃やし始めます。
デスマスクは足と腕の骨が折れているはずなのですが,もう治っているのでしょうか,普通に立っていますし,拳を繰り出そうとしています。
紫龍が小宇宙を高める過程で,これまた老師の言葉を思い出しつつの幼少時の修行シーンの回想が打ち込まれています。
回想シーンが終わって,お互いの必殺技を繰り出します。
紫龍の小宇宙のほうがデスマスクを上回り,デスマスクはそのまま黄泉平坂の穴へと落ちていきます。
戦うときのお互いの向きからして,デスマスクにとって不利な方向になっていたということです。逆向きだったら,デスマスクはふっ飛ばされるだけで穴には落ちることはなかったでしょう。
現世へ
デスマスクを倒すと,紫龍の魂は巨蟹宮の紫龍の体へと戻ります。
巨蟹宮では,双児宮を抜けた瞬がちょうど駆けつけてきており,紫龍は瞬の目の前で魂が戻り,目をさますことになります。
うわ言のように春麗の名を呼ぶ紫龍。

蟹座のデスマスクは倒したが,そのデスマスクに春麗が…。
と涙を流す紫龍。

俺の小宇宙に直接語りかけてくる,あの声は…。
このフレーズ,他の場面でもありましたね。

紫龍よ,春麗は無事じゃ。心配することはない。デスマスクのバカものめ!攻撃的念動覇など,この鷲の目の前で通用しきれるものではなかろうに…。
原作では濡れていなかったように思いますが,アニメではちゃんと滝壺に落とされたらしく濡れています。気絶していることに変わりはありません。
紫龍の視力回復
瞬と握手する前は目が見えなかった表現がされていた紫龍なのに,握手した後は,目が見えるような表現のされ方をしています。
巨蟹宮に戻った時,すでに目が見える表現になっていたので,アニメーターさんの塗り間違えだと思います。

紫龍よ,お前,目が見えるようになったのじゃの。
老師に指摘されるまで,気づかなかったのか…。
積尸気にいる時は見えていたから,現世でもそのまま見えるようになっていたことに,意識が向いていなかっただけなのかもしれません。
気づけよ。
それにしても老師は,五老峰にいるにもかかわらず紫龍の視力の状態まで把握できるだなんて…,黄金聖闘士の超能力ヤバすぎでしょ。
老師による,紫龍の目が見えるようになった理由の解説が入りますが,映像はデスマスクとの戦いの回想シーンとなります。
アニメオリジナルストーリーの「命の水」の話にまで結びつけています。
デスマスク亡き後の巨蟹宮
巨蟹宮一面に浮き出ていた死に顔が消えました。
怨念のこもった霊気が消えています。デスマスクが倒れたことによって成仏できたということになっています。
デスマスクが亡くなったのは良いのですが,デスマスクの体はどこに行ったのでしょう?
紫龍はデスマスクの技で魂を積尸気に飛ばされましたが,デスマスクは生身の体のまま積尸気にいったので,肉体はないということなのでしょうか?
それに,蟹座の聖衣は?
冥王ハーデス編では,蟹座の聖衣は巨蟹宮に安置されていたので,聖衣は積尸気から単独で戻ってきたと思われますが,そのような表現はここではありませんでした。
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