昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。
当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。
紫龍の修行時代,視力を失って五老峰に戻ってきたときの回想シーンが,尺の半分を占めます。
あらすじ
再びデスマスクの積尸気冥界波を食らって積尸気に送られて紫龍。そしてその紫龍が再び積尸気から戻ってこないようにするために,デスマスクも積尸気へと向かいます。
ご朗報では,戦いに赴く紫龍を無事を願って,春麗が祈り続けます。
春麗の祈りは,紫龍を黄泉平坂に落とさんとするデスマスクにまで届くほど。
その春麗の祈りを鬱陶しいと感じたデスマスクは,春麗を念動力で滝壺に落とします。しかし,春麗を滝壺に落とされたことで紫龍の怒りは爆発し,形勢逆転することになります。
本編
再び積尸気に送られて,あの世の入り口で倒れている紫龍。
一方その頃五老峰では,春麗が祈りを捧げています。
ギリシアまで届く春麗の祈り
その春麗の祈りが,中国から遠く離れたギリシアの聖域にまで届きます。

ん?なんだ?この鬱陶しい気は?俺に対する攻撃的な小宇宙というものでもなさそうだな。
春麗の祈りの能力が強すぎます。
小宇宙とはまた違う能力…。謎のオーラがかなり強いとみました。
デスマスクもムウほどではないにしろ,超能力に長けているので,このような気の検出感度が高いというのもあるのでしょう。

これは祈りだ。ええい…,鬱陶しい…。
神様,お願いします。紫龍を…お守り…
春麗の声

まさか紫龍のやつ,また積尸気を抜けて冥界の入口から戻ってくるのでは…?!
デスマスクにとって,積尸気から戻ってきたやつは初ですからね。
巨蟹宮一面に浮かぶ死者の数だけ人を殺めてきて,こんなことは一度もなかったことなので,デスマスクがビビるのも無理はありません。
デスマスクは,紫龍が戻ってきたのはアテナの加護があったからこそということを知りませんし。
積尸気にて
再び積尸気に送られた紫龍は,気が付きます。
冥界の入口では失った視力が戻ります。視力が戻ったことで,紫龍は今どこにいるのかを悟ります。
2度も積尸気冥界波を受けたことで,体に力が入らず,元の世界に戻る方法もわからず,どうすれば良いのかわからなくて,紫龍は途方にくれてしまいます。
しかしそんな紫龍のもとにも届く春麗の祈り。
どんだけ祈りの力が強いねん!

春麗の祈りが…,春麗が俺のために,五老峰で祈ってくれているんだ!
春麗ーーーーっ!
冥界の入口に届いた春麗の祈りの力も強いけど,叫んだ紫龍の叫びがこの世で祈り続ける春麗のところまで届くというのもまたすごい。
そしてその紫龍の叫びに春麗が気づいて叫ぶというのもね。
人の想いは強いということか。愛の力かな。
春麗がいたからこそ
春麗の祈りの声を聞いて,昔を思い出す紫龍。

春麗がいたからこそ,俺は聖闘士になれたんだ。
ここで紫龍が五老峰にやってきったときの回想シーンが始まります。
修行時代の紫龍の回想
五老峰の老師の元に聖闘士になるためにやってきた紫龍。
その時の老師の登場の仕方が,空からいつもの場所に舞い降りています。
滝上にでもいたのでしょうか。
老師に挨拶をする幼い紫龍。その紫龍を見てくすくす笑っていたのが,幼い春麗。
人が真面目に挨拶しているのを笑うなんて,なんて失礼な娘なんでしょう。
赤ちゃんの頃,廬山に捨てられた春麗。自分と同じ孤児であることに共感を覚える紫龍です。
一人っ子政策の中国だから,田舎に行けば無国籍の捨て子は多そうです。
紫龍と春麗の出会いは,紫龍が8歳,春麗が7歳のはずですが,体型がすでに性的成長をし始めてしまっています。
紫龍はグラード財団にいたからともかく,春麗はこの山奥で,成長を促すような食べ物があったのでしょうか?ちょっと疑問です。

俺は,強くなりたいんだ。どんな運命にも負けないぐらいに強く。親の顔さえ知らない俺は,自分の力しか頼りにできないのさ。その力を試して見ようと思って,あえてグラード財団に身を任せ,聖闘士を目指すことになったんだ。
中国に来て,いきなり会話が成立するとは素晴らしい。
修行地が五老峰と決まってから,日々のトレーニングと並行して中国語の勉強でもしていたのでしょうか。となると,かなり短期間で習得したということになります。
なんという語学力!
「自分の力しか頼りにできない」って,その「力」とは「暴力」とは限らないと思うのだけれど…。
老師のもとで紫龍の修行が始まります。

紫龍が指2本で逆立ちしている様子を,老師が見守っているわけですが,この老師,宙に浮いています。原作で黄金聖闘士が空を飛ぶようなことはなかったのですが,アニメでは飛びまくっています。
今となっては驚くようなことではありませんが,宙を飛び始めたのはこれが最初かもしれません。

紫龍,雨の日も風の日も,激しい練習は辛いでしょう
練習というよりも,鍛錬だと思う。

いや,確かに老師の教えは厳しいけど,暖かさがある。俺は五老峰に来て,はじめて人間的な暖かさを知った。老師,それに春麗…,君のお陰だ。
孤児院やグラード財団で,どれだけ虐げられていたのかわかる言葉です。

ありがとう,春麗
と言って,手に持っていた花を春麗の頭に飾る紫龍ですが,その花は,いったいいつ摘んだのでしょうか?その前のシーンの手には,花なんて持っていませんでしたよ。
春麗の回想

神様!紫龍は今目が不自由なのです。あたしを紫龍の杖代わりに使ってください。あたしが傍にいなければ,紫龍は…。
紫龍が視力を失って,五老峰に戻ってきたときの回想シーンが入ります。
視力を失って,原作にはない自暴自棄になっている紫龍が描かれた,あの回です。

神様,どうか紫龍をお守りください。目が不自由なのに,ただでさえ天と地ほどの差がある黄金聖闘士と戦わなくてはならないなんて…。あの時だって…。
そして今度は,五老峰にいる老師を狙ってデスマスクが来たときの回想シーンになります。
五老峰の大滝の前で,ひたすら祈り続ける春麗。
春麗はこの日,寝ることなく一晩中祈り続けているはずです。

春麗,今日はいつになく帰りが遅いのう。
って,のんきに家の囲炉裏にあたっている老師。
原作の老師は大滝の前から雨の日も風の日も,昼も夜も,大瀑布の前から一歩も動く事はありませんでしたが,アニメの老師は動きまくります。夜は家に帰って寝ることすらします。
デスマスクも積尸気へ

やはりこの俺自身の手で,完全に死の国へ突き落とせねばならんようだ。
ということで,積尸気にいる紫龍の背中をいきなり蹴り出す形で登場したデスマスク。紫龍にとっては不意打ち以外の何物でもありませんが,光速の蹴りを受けてもなお,倒れ込むだけですんでいる不思議。
デスマスクは高笑いしているのですが,口が動いていないのは突っ込まないことにしておきましょう。

俺は自らが作り出すゆえに,積尸気の穴を自由に出入りできる。こんな俺でも一度落ちたら二度と這い上がれないところに,今から案内してやる!
あらあら,フラグ立てちゃったよ。
高笑いしながら紫龍を締め上げていっているところが,なんとも嗜虐性を表していますね。
紫龍を締め上げたまま,宙を飛んでいっちゃったよ。
ここは地上ではなく積尸気だから,宙を飛んでも不思議はないのかもしれないけれど,やはり黄金聖闘士が宙を飛べるのは,デフォルトのようです。
宙を飛んで,黄泉平坂の説明をしてくれる,優しいデスマスク。
黄泉平坂

この冥界の入口にきた亡者どもが,黙々と入っていくところ。それが,あの黄泉平坂だ。この積尸気が生と死を分ける場所だとすれば,あの黄泉平坂こそ,まさしく死の国への落とし穴。あそこに落ちたら,二度と生き返ることはない。確実に死ぬのだ。
病で生と死の境をさまよっている人は,この積尸気をゆっくりと進むのか,スタート地点が遠いのか。事故などで即死してしまった場合は,駆け足で進むのか,それともスタート地点が近いのか。
そんなことをふと思ってしまいました。
紫龍をその黄泉平坂に落とそうとするデスマスクと,それに抵抗する紫龍。
もうちょっと確実に黄泉平坂に落ちる場所で紫龍を落とせば良いものの,どうして中途半端な場所に落とすのか。

黄泉平坂まで一足飛びと思ったが,それではあまり芸がない。
戦いに芸なんて求めてないと思いますど,そこはデスマスクの戦いの美学なのでしょうか。

この俺が引きずって落としてやる。
そこまで紫龍を引きずって運んで落とすなんて,もっと芸がないでないか!
そして紫龍を担ぎ上げ,黄泉平坂に落とそうとしたそのとき,春麗の祈りが届きます。
神様,どうかお守りください。どうか…。紫龍を,紫龍を…。お守りください。
春麗
そして鬱陶しいこの祈りの元を逆探知するデスマスク。
デスマスクの念動力は,聖闘士の中でも強い部類に入っていると考えます。
逆探知した上に,さらに春麗の体を持ち上げて,滝壺に落とすだなんて,と思いましたが,上がいましたね。
ギリシアの聖域からシベリアに海底地震を引き起こして,船を黄金聖闘士に沈めた人が…。
黄金聖闘士の念動力…,恐ろしすぎる。
こんな遠隔攻撃をされたら,一般人には防ぎようがありません。
逆鱗
春麗を滝壺に落とされたことで,怒り心頭の紫龍。先程まで,体の力が抜けきっていてぐったりしていたのに,どこにそんなパワーが残っていたのかと…。
愛の力,恐るべし!
紫龍の体が熱くなって,デスマスクの手が燃えるほどに…,って,紫龍の体がそんなに熱くなったら,紫龍の体もただでは済まないはずなのですが,そこは聖闘士なので,小宇宙の力でデスマスクの細胞を構成する原子のみを激しく振動させて熱を発生させたのでしょう。
そこから紫龍の反撃開始です。

デスマスク,いくら敵とは言っても,相手をここまで憎いと思ったことは,生まれてはじめてだ!もはやお前に対して,一欠片の情け容赦も持たん!
紫龍の長い髪の毛が逆立つなんて,どんな気流が紫龍の足元から発生しているんだか。
それに,格下の青銅聖闘士が格上の黄金聖闘士に対して使う言葉遣いでもありません。

バカな!すでに力尽き,もはや亡者も同然の紫龍から,黄金聖闘士をも超える小宇宙を感じるとは…。一体…。
素直に黄泉平坂に突き落としていればよかったものを…。
変な欲を出すから,紫龍にタコ殴りにされることになるのですよ。一方的に,紫龍がデスマスクを殴っていますよ。

龍を怒らせるということは,逆鱗に触れるということだーーーーっ!!
吹っ飛んでいくデスマスク。哀れ…。

俺の命が絶えるまで,俺の怒りが消えることはないーーーっ!
どうせこの戦闘が終わったら,怒りなんて消えるんでしょ。
最後のシーンだけ,視力を失っていることを示すために青くなっていた紫龍の目が,白に戻っていました。塗り忘れかな?
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