昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。
当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。
あらすじ
異次元空間に飛ばされた氷河が落ちたところは天秤宮。そこでは氷河の師の水晶聖闘士の師である水瓶座カミュが待っていました。
氷河に戦いから降りるか,それともカミュと戦うか,選択は二つに一つ。
カミュにマーマの眠る船を沈められ,怒りのままにカミュに立ち向かう氷河ですが,結果虚しく敗北し,カミュに氷の棺の中に閉じ込められることになります。
原作32話(文庫版)の後半部分になります。
本編
氷河が異次元から戻ってきたところから始まります。
気を失っていた氷河は,ここでようやく気が付きます。

そ,その聖衣は水瓶座。あ,あなたは,ま,まさか…!
水瓶座カミュ
相手の守護星座が何座かなんて,オブジェ形態ではなく,装着された聖衣でもわかるものなんですね。
ひょっとして,聖闘士は,全88星座のすべての聖衣のオブジェ形態と装着形態を覚えなければいけないのかな?でも,ムウに聖衣を修復するたびに形が変わっているから,学習するのも大変ですね。

お前のことは水晶聖闘士から聞いていたぞ,氷河。

俺もです!
ということで,氷河の修行時代の回想シーンになります。
水晶聖闘士が,自分の師の水瓶座のカミュは,水晶聖闘士が今まで出会った中で一番強くて,最も素晴らしい聖闘士だと,氷河に説明しています。
笑っても…,良いかな…。
水晶聖闘士は,氷河のことを「シベリアと日本」の狭い世界しか知らない,なんて言っていますけど,水晶聖闘士も大概ですね。
水晶聖闘士が知っている黄金聖闘士は,おそらくカミュだけなのかもしれません。
カミュと氷河はお互い存在だけを知っていて,顔は知らなかったということになっている模様。カミュが氷河のことを知っていたということは,水晶聖闘士は時々カミュの元を訪れて,氷河のことを話していたのでしょう。
楽しく弟子のことを離している姿が想像できてしまいます。

そのあなたが,俺の先生の師である水瓶座のカミュ。そして,あなたは黄金聖闘士だったんですね!
水瓶座が黄道十二星座であるという段階で,黄金聖闘士だと気づかなかったのかな?

違う,宝瓶宮はまだずっと先だ。ここは7番目の宮,天秤宮だ。
白羊宮を守る聖闘士が牡羊座の聖闘士だということを全然分かっていなかった氷河(ただし原作)ですが,さすがにどの宮をどの守護星座の聖闘士が守護しているのかを理解したようですね。

しかし天秤宮といえば,紫龍の師である老師の…
氷河は紫龍の名を挙げていますが,カミュは紫龍のことを知らないはずです。
「老師」は知っていたから,老師には反応しました。
老師が五老峰から動かないことを良いことに,勝手に人の宮に来てしまっています。持ち場を離れて勝手に人の宮に行ってしまうなんて,これのどこが素晴らしい聖闘士なのでしょうか?甚だ疑問です。
天秤宮に来た理由
カミュがなぜ天秤宮に来たかというと,

氷河,それはお前をここで食い止めるためだ!これ以上先に進むな!これは私の命令だ!

それは,俺の先生の師の言葉でも,従うわけにはいきません!
師匠の命令なら従わなければならない心理は働きますが,師の師は果たしてどうなのでしょうか?
直接的な師とは違って,あまり恩情は感じないような気もしますが…?
ここから力づくでも氷河を止めてしようとしてしまうあたり,さすがは聖闘士です。話し合いなんて通じません。話し合いが通用する世界自体,そもそもそれ程多くは存在しないのですけどね…。
カミュの拳に,あっけなくふっ飛ばされる氷河。
カミュは黄金聖闘士なので,掌を動かしていないように見えて実は凍気とともに光速拳を繰り出していると見た!でなきゃ,凍気だけであんなに吹っ飛びませんから!

氷河,お前の取る道は2つしかない。諦めてこの宮を去るか,それとも私と戦うかだ!
戦わないふりをしてこの宮を去り,星矢たちが来るのを待つという方法もありそうですが,流石にそのような逃げの選択は男としてはできないのでしょうね。

その前に,俺の話を聞いてください!
そう言って,カミュの足にしがみついているのも,なんだか情けない姿です。でも,氷河らしいと思ってしまうのはなぜだろう…。
それでもやはり聞く耳を全く持たないところは黄金聖闘士です。
再びカミュにふっ飛ばされる氷河。

無人のはずの天秤宮に,老師ではない誰かが,黄金聖闘士が来ている。それにしてもこの強力な小宇宙は,私の知る黄金聖闘士の中でも屈指の…。嫌な予感がする。
カミュの小宇宙が黄金聖闘士の中でも屈指だなんて,原作にはなかった表現です。ムウ様なら,天秤宮に来ている聖闘士がカミュだってことぐらい気づいていそうです。
それとも,十三年間聖域を離れている間に誰の小宇宙なのか忘れてしまったのかな?

どうだ,氷河!おとなしく引き返す気になったか!?ならば来い!進むためには,この私を倒さねばならないのだからな!
拳で語ることしかできない人たち…。

あなたは水晶聖闘士の師。つまり,俺の師も同然の方です。師であるあなたに,拳を向けることはできない!
直接教えを受けていないのなら,師とは言えないような気がするのですけど…。
氷河の師として,水晶聖闘士なんているオリジナルキャラを登場させてしまったがゆえの,苦肉のセリフが炸裂しています。
水晶聖闘士が死んだ理由

どうしてもあなたに!真実を聞いてもらうまでは諦めません!あなたの教え子であり,俺の師である水晶聖闘士が亡くなったのは,あなたも知っているはずです。水晶聖闘士を死なせたのも,この俺だと言うことも…
ということは,カミュにとって氷河は弟子の弟子かもしれないけれど,弟子の仇でもあるわけですね。カミュが弟子の仇として,氷河を倒してしまっても,何の問題もなさそうです。
ここで氷河が水晶聖闘士に身に起こったことの説明として,第21話で水晶聖闘士が別人のようになって聖域から帰ってきたことと,氷河と対決して亡くなったときのシーンが流れます。
尺稼ぎ~。
氷河よ,聖闘士なら水晶聖闘士のことよりも,もっと大事な守るべきものの存在の説明をしないでどうする!水晶聖闘士のことなんて,どうでもいいんだよ!

お前の話はそれだけか。水晶聖闘士は敗れ去り,死んだ。それが全てだ。(中略)しょせん水晶聖闘士は,真の聖闘士とは程遠かったのだ。その教えを請うた,お前と同様にな!
水晶聖闘士は守護星座を持たない聖闘士なので,真の聖闘士ではないことは確かです。
氷河の心のなかでは,水晶聖闘士から聞いていたカミュ像とは全然違う印象で,かなり混乱しているに違いありません。
それにしても,この人達はどうして,背中を向けてしゃべるのだろうか。人に説明する時は,相手の目を見て話すということをしないのか。

ところで先生!水瓶座聖衣の二の腕パーツを装着するの,忘れてますよ。しっかりしてください!

この俺だけならともかく,俺の尊敬する先生まで侮辱する気なのですか!
戦いは,何も身体的なものだけでなく,精神的なもので相手を先に痛めつけておくという方法がありますよん。このカミュは,戦う前に精神的なダメージを与えているように見えます。
カミュらしくないような,カミュらしいような……。
マーマ

確かお前には,シベリアの海に眠る母親がいたな。よく見ておくが良い。
これもカミュの氷河に対する精神攻撃かな?
氷河にマーマの眠る船を見せた後,カミュが指を天に向けると指先から何やら光線が発射されて,それが水瓶座に反射して,氷河のマーマの眠る船に直撃!船が沈んでいきます。
なんちゅうコントロール力!ギリシアからシベリアの船にめがけてですよ!
原作では氷河がマーマのところへ行っているタイミングで,海底地震のようなものを起こして氷河の目の前で船を沈めました。
しかしアニメでは聖域決戦の前に氷河はシベリアに帰っていなかったため,このような場面はありませんでした。その場面がこのような形でここで挿入されるとは…。
アニメの表現の仕方では,カミュは氷河にマーマの船が沈んでいく幻影を見せただけで,実際には沈んでいなかった,なんてことはありえそうです。
黄金聖闘士なんだから,精神攻撃の一つや二つ誰でもできそうですし,アニメオリジナル技だとしても驚きません。

夢や幻覚ではない。現実をお前に見せてやったのだ。
脳に直接映像を送り込んだのなら,現実だとしても幻覚です。

たとえ死んでいたとしても,あそこに行けばマーマに会える。それがたった一つの心の拠り所であり,安らぎの場だったんだ。
ということで,たった一つの拠り所をなくされたということで,怒り心頭の氷河。聖闘士にとっての拠り所は,アテナだろうし,今の氷河なら友といってもおかしくないはずなのですけどね。
氷河にとっての母親像は,絶対かなり美化されていると思う。

過ぎ去った過去にいつまでも囚われ,ましてや涙するなど,普通の人間ならばそれでも良いだろう。だが,聖闘士なら話は別だ。いわば氷河!私がお前の弱点を断ち切ってやったのだ!
普通の一般人でも,過去に囚われすぎるのはよくないことです。前を向いて進むことに対する妨害にしかなりませんから。
良いこと言った!
カミュvs. 氷河
この直後に氷河は怒りのダイヤモンドダストを繰り出すのですが,技の出し方がどう見てもオーロラサンダーアタックです。
氷河のダイヤモンドダストなんてカミュに効くわけなく,今度はキグナスダンスからの渾身のオーロラサンダーアタック。オーロラサンダーアタックのキグナスダンスって,スキが大きすぎるし,技を出すまでの時間がかかりすぎですね。
それを何も言わずに待っていてくれるなんて,カミュはなんて優しいのでしょう。と思いきや,氷河の技をそのまま返却しています。
双子座の聖闘士のときと言い,氷河はこのパターンが多いですね。
凍気をそのまま跳ね返すのに光速は必要ないとしても,それなりの速度の拳を出していると考えられます。しかも氷河が吹っ飛んでいるので,氷河の拳以上の速さが出ていることは間違いありません。
壁に人型を作って,氷河は床に倒れ込みます。
壁に人型はできても,体は平気。岩よりも硬い体って一体……。
セブンセンシズ

お前の心の中は今,水晶聖闘士や母への想いと,私への憎悪で満ち満ちている。いわば薄っぺらな感情というものでな。それは,真の聖闘士が持つ,究極の小宇宙とはかけ離れたものだ。
小宇宙は感情が作用して爆発することもありますが,セブンセンシズと定義している以上,感情とは切り離して考えるべきものです。感情を乗り越えた先にあるものだとは思います。
憎しみによってセブンセンシズに目覚めるとは思えません。

少なくとも黄金聖闘士と互角に戦うには,くだらぬ感情など捨ててしまえ,氷河!
やっとカミュの本心が見えてきました。
だけどまだまだマーマに対する想いを捨てきれない氷河じゃ未熟者。打ちひしがれる程に未熟者。メンタル弱すぎます。
カミュが呆れ返ってしまったではないですか。
呆れ返るあまり,水瓶座最大の奥義をここで繰り出すだなんて‥。
オーロラエクスキューションを繰り出すまでの動作を,氷河が解説。そして技を食らってふっ飛ばされる氷河の背景が,異次元空間なのはなぜなんでしょう?アナザーディメンションでもあるまいし。
さようなら
走馬灯のように,マーマが…。マーマのところに行けると言うなんて,まだ早いですよ。
氷河の小宇宙が一瞬大きく弾けて,その後消えた!
十二宮を駆け上がっている他の青銅聖闘士たちが気づきます。
小宇宙って,便利ですね。
同時に火時計の双児宮の火も消えました。

永久の眠りについたか氷河よ。私がお前に与えた試練も,無駄に終わったようだ。だがこれ以上戦い進んだところで,結果は同じだった。むしろ苦しまずに死ねたほうが良かったかもしれない。
(中略)
許せ!水晶聖闘士よ。たとえ宿命とはいえ,お前の愛弟子をこの手で葬ることになろうとは…。
一応,水晶聖闘士にも敬意を払っているのね。
ここで水晶聖闘士が映し出されるのも,なんだかなぁ。
氷河をく氷の棺に閉じ込める過程で,泣きまくってるカミュ。
氷河と水晶聖闘士に別れの言葉を叫びまくっているあたり,なんだかんだでカミュも本当は優しい人です。
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