ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。
ついに聖域十二宮編も最後の回となりました。
あらすじ
五感を失った星矢ですが,みんなから小宇宙をもらい,ついにサガを倒します。
アテナ神殿に向かう星矢をサガは阻止しようとしますが,善の心がサガを問い詰め,苦しみます。
火時計の火が消えるかという瞬間,星矢はついにアテナの楯を手に取り,沙織の胸に刺さった黄金の矢を消し去ることに成功します。
女神は復活し,黄金聖闘士以下雑兵に至るまで,女神に忠誠を誓います。
アテナ神殿では女神の到着をサガが待っており,女神に自らの罪を詫びた上で自害し,戦いの幕が下りることになります。
本編
一輝が盾となったことで,星矢はかすり傷程度で住みました。五感を失っていても,意識はあります。
光速の動きを持つ黄金聖闘士の技は,一輝が盾となったところで衝撃なんて防げないんですけどね。
みんなの小宇宙
星矢,俺の命をおまえにやるうーーーッ
文庫版『聖闘士星矢(7)』P238
青銅聖闘士たちが,小宇宙を送るだの,命をやるだの言っています。
ただの感覚である小宇宙を他人に渡すことなんてできるのか?!?
邪武たちなんて,命をくれてやるって言っていますが,一輝のように身を挺して助太刀をしているわけではないですし。
そもそも,小宇宙をすべて失っても,生きていくことは出来ます。
だからもう一度立ち上がれ。正義のために。女神を救うために…。星矢,おまえは今みんなのたった一つの希望なのだ!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P239
小宇宙を使った会話ができるようなので,小宇宙を送ったというよりも,小宇宙会話で星矢を元気づけたと言ったほうが正解でしょう。
とはいえ,みんなから小宇宙を送られて,立ち上がる星矢です。
星矢の後ろには,ペガサス以外の熊や鳳凰やアンドロメダのオーラが見えます。
セブンセンシズ
確かに五感を絶たれた俺は何も見えないし聞くことも出来ない…。だが見る以上に,聞く以上に,それらの直感を超えて今はっきりとすべてのものを感じ取ることができるのだ…。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P242
ここでサガは,星矢がセブンセンシズに目覚めたということに気づきます。
五感を絶たれると,セブンセンシズに目覚める説
並の敵なら,五感を立ってしまえば相手は弱体化するのでしょうけど,星矢たちは五感を絶ってしまうとますます小宇宙が燃え上がってしまうという……。なんとも与しにくい相手なのであります。
今までの青銅聖闘士たちの戦いをちゃんと観ていたのならば,気づいていたはずですけどね。
そんな星矢にビビって,ギャラクシアンエクスプロージョンを放とうとするサガですが…。
今,みんながこの俺に勇気と力を与えてくれた。俺はみんなの希望なのだ。心の小宇宙よ,セブンセンシズよ,今こそ究極まで燃え上がれ!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P243
この台詞は星矢の名言として,さまざまな媒体で使用されていますね。
最近は,めっきり心が燃え上がることなんてなくなってしまいました。究極まで燃え上がらせて観たいものです。ゾーンに入っている状態とでも言いますでしょうか。
最後はペガサス彗星拳で,ついに星矢はサガを倒します。
Who are you?
火時計の火は,今にも消えようとしています。
みんなが星矢を見守っています。
サガが倒されたのだから,アテナの盾を掲げるために,他の誰かが駆けつけることは出来なかったのかと思います。
魔鈴かシャイナ,青銅二軍の誰かが駆けつけようとするだけでも,違っていたかもしれません。
星矢はアテナの盾をかざすために,這ってでもアテナ神殿へ向かおうとします。
サガは,倒されたとはいえ,この段階ではまだ死んでいません。起き上がって,星矢を阻止しようとします。
しかしそこに立ちはだかるのは,双子座聖衣の幻影。
双子座聖衣はサガが着ています。聖衣がもう一体あるわけではないので,サガが見ているのはおそらく幻影でしょう。
WHO ARE YOU?
文庫版『聖闘士星矢(7)』P258
ギリシア語ではなく,なぜ英語なのでしょう?(そんなことを言ったら,聖闘士の技もほとんど英語だ)
サガの善の心が,幻影を見せているのでしょう。心が入れ替わりすぎて,何者なのかわからなくなっている状態です。
善の心が,悪サガを問い詰めます。
よせ,おまえこそ,これ以上罪を重ねるな。女神は決して市にはしない。女神に詫びろ。そして,罪を償え。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P256
教皇の間からアテナ神殿は隣接しています。星矢が短時間で這ってでも行ける距離にあります。
ですが,サガは星矢を追いかけて長くて暗い通路を走っているように見えます。
心の葛藤が,長い暗闇を走らせているのでしょう。
そして通路を抜けた先には,アテナ神像。
優しくサガを見つめています。一瞬たじろぐサガ。
女神復活
アテナ神像の足元に,這ってたどり着いた星矢。
教皇の間からの距離を考えると,めちゃくちゃ速い匍匐前進です。小宇宙を燃やして,マッハで匍匐前進していたのかもしれません。
聖域にいる誰もが星矢の行動を見守ります。
星矢の様子なんて黄金聖闘士たちがいる位置からみえるとは思えないですし,ましてや十二宮の麓にいる青銅聖闘士二軍たちが見えているとは思えません。
星矢の様子は,巨大モニターにでも映し出されていたのかと,思わずにいられません。
アテナよ!割れに正義の楯を与えたまえ!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P264
巨大な楯が,背板の手に収まる大きさに縮みます。
小さくなっても,きっと質量保存の法則から重さは変わっていないと思います。
もともとの楯の分子構造はスカスカだったけど,小さくなって密々な分子構造になって,めちゃめちゃ比重が高くなっていそうです。
重さは変わっていなくても,手に収まる大きさになってくれたことで,扱いやすくはなっていますね。
火時計の火が消えるかという瞬間に,盾をかざすことに成功し,黄金の矢が消えます。
山の頂上にあるアテナ神殿から,麓に倒れている沙織に向かって,正確にかざしている星矢の能力もすごいです。しかもこの時の星矢は意識朦朧としている状態です。
アテナの楯から放たれた光は,楯の正面にいたサガを貫通し,沙織の黄金の杖と呼応し,黄金の矢が消えることとなりました。
それは光の速さをも超えた,まさしく一瞬の出来事だった…。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P271
光の速さを超えるって,一体どういうことでしょう?
光の速さというだけで,すでに一瞬のことなのですけれども…。
そしてサガの体から,何かのオーラが抜け出ます。
サガの体から抜け出たオーラの正体が,30年以上も経ってから明らかになるなんて,この時は思いもしませんでした。
ファンを30年以上も待たせた伏線です。
邪悪なオーラが抜けたサガは,もとの優しく清らかな顔に戻っています。
アテナの下で
黄金の矢が消えた沙織は,何事もなかったのように立ち上がります。
傷跡も何も残っていません。
聖域が沸き立ちます。
女神…われら黄金聖闘士も残った数わずかになってしまいましたが,あなたを真の女神として迎えることに,一同すべて同意いたしました。(中略)女神よ,あなたのもとで地上の正義と平和を守るために戦います!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P276
黄金聖闘士を最前列に,青銅聖闘士二軍と雑兵たちがその後ろに並んで,歩調を合わせたかのように一斉に女神にかしずくシーンは,とても好きな場面です。
そして何かに気づいたかのように,急に走り出す沙織お嬢様。
行かせて差し上げてください。彼女は今,普通の少女に戻ったのです。これから彼女には,女神としての想像を絶する戦いが待っています。今だけ普通の少女にさせてあげてください。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P277
ムウ様が辰巳にこう言って諭すシーンも,なにか好きです。
十二宮を駆け上がっていく沙織お嬢様。
十二宮はそれなりに高い山にあるように見えます。石段を登っていくのって,かなり辛いですよ。アテナ神殿までなんて,石段はきっと1000段以上あるのではないかと思います。
息を切らしながらも,普通に上りきってしまう沙織お嬢様は,さすが女神様です。
アテナ神殿には,サガが待っていました。
ア…女神,あなたにひと言お詫びを申し上げたく,ここでお待ちしておりました。
うう…女神,こんなことで私の罪が許されるとは思っておりません。で…でも,このサガ,本当は正義のために生きたかったのです…。ど…どうか,それだけは信じてください。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P279,280
聖衣の上から拳で胸を突いて自害しています。
神話の時代から破壊されることのなかった黄金聖衣の上からですよ!!
胸を突いた衝撃…,というわけでもなく,血が飛び散っていますから,聖衣を貫通していなければ出血なんてしません。
黄金聖衣よ,一体どうなっているのだ?
敵からの攻撃に対し破壊されたことはなかった黄金聖衣ですが,自らの攻撃に対しては紙になってしまうのでしょうか?
黄金聖衣がサガの血で汚れている表現も,しっかりあります。
サガは俗に言う二重人格者だったのですね。
文庫版『聖闘士星矢(7)P281
ムウ様,いつの間に十二宮を登ってきたのでしょうか。
辰巳を静止したあと,こっそりついて来たのでしょうね。
師匠を殺した男の顔を,もう一度眺めてやりたい!生きていたらぶっ殺して,師匠の敵をとってやる。
とでも思って付いてきたのかもしれません。
結局,今度の戦いで誰よりも苦しんでいたのは,サガだったのかもしれない。善と悪のはざまで…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P282
死んでしまったとはいえ,師匠を殺した敵を前にしてよくそんなことを言えますね。
師匠を殺されたムウ様も,反逆者の弟という汚名を着せられたアイオリアだって,それに匹敵するぐらい辛くて苦しい日々を送っていたと思うのですけど……。
自分が苦しんでいたこと,忘れていませんか?
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