ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。
ついに教皇が正体を現しました。
十二宮編も最後の戦いになってきました。
あらすじ
教皇の正体は双子座の聖闘士であることが明らかになりました。
星矢は五感を失いますが,心の小宇宙を高め,双子座の聖闘士に拳を数発当てることに成功します。しかし双子座の聖闘士はほとんど他メージを受けておらず,星矢はついに倒れてしまいます。
一方,シャカはムウの助けを借りて処女宮に生還し,一輝の小宇宙を蘇らせて一輝を教皇の間へと急がせます。
一輝は教皇の間へと行く途中,紫龍,氷河,瞬の激闘の跡を目にします。
兄弟たちと短い会話を交わし,星矢を助けるために教皇の間へと急ぎます。
本編つっこみと感想
呼び寄せた双子座の聖衣を纏った教皇。
ジャンプ連載当時はカラー巻頭だったので彩色されていた関係なのでしょうか,それにしても髪が黒くなっていないのが気になります。
ただし,数ページ進むと黒くなってます。
カラーをグレースケールにしたところ,表現が白っぽくなってしまっていただけのようです。
教皇の正体は…,黄金聖闘士十二人のひとり,双子座の聖闘士だったというのか…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P118
教皇は黄金聖闘士12人の中から選ばれるのだから,当たり前のことではないのかな?
教皇になると同時に,黄金聖闘士を引退しなければならないというのならわかりますが,そのようなことはどこにも書かれていません。
そして早速,星矢を異次元空間に飛ばす双子座の聖闘士。前ページでは男爪でしたが,ここからは一貫して女爪に変わります。
苦しむ双子座
星矢は異次元空間に送られるも,すぐに教皇の間に戻っています。
異次元空間に送ったところで,止めを刺すわけでもなく,術者が技を解いてしまえば結局意味がないという……。
これを必殺技と言って良いものかどうか,小一時間問い詰めたくなりますね。
星矢が異次元空間から戻ると,双子座が苦しんでいます。
もう一つの善の心と葛藤していると言いますか,悪の心と善の心が心のなかで会話をするのはよくあることですが,声に出して罵り合うなんて,普通の人はそんなことしません。
よほどそれらの心が強いのか,追い詰められているのか,その様子を傍から見ていた星矢は,「なんなんだこいつ?おかしいやつだな」と思っていたのか,それとも理解しようとしても無理だったのか…。
こんなことを目の前でされたら,戸惑うよな。
そんなにペガサスの命を助けたいのなら,命までとるとはいわん。その代わり,五感をことごとく断ち,廃人同様にしてくれるわ,クッククク……
文庫版『聖闘士星矢(7)』P123
こんなことを誰に向かって喋っているのか,そんな人が身近にいたら,気持ち悪いですね。
そして五感をことごとく奪われている星矢。
五感剥奪技って,シャカの扇じゃなかった?双子座は五感剥奪技が必殺技ではなく一般の技になっています。
シャカ再び
シャカの迷言が多く登場するところです。
ムウ!!牡羊座のムウよ…!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P127
このシーン好きです。
ムウの小宇宙に直接話しかけるシャカ。
そうだムウよ,君にちょっと助けてもらいたいのだ,実は時空の間のねじ曲がったすごく面倒なところへ落ちてしまってね…。
私一人なら良いが,もうひとり助けたい男がいるのだ。黄金聖闘士の中でも並外れた念動力を持つものは君だけだ。頼む,話は後でする…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P127
お互いにきみと呼び合って,同僚とはタメ口のムウ様。
お互いの力を認めあっているところも,なんか好きです。
時空のねじ曲がったところって,ブラックホールの近くまで落ちていってしまっていたということなんでしょか。
ムウの助けを借りて,一輝とともにシャカは処女宮に戻ります。処女宮に戻ると同時に,乙女座聖衣が自動的にシャカの体を覆うのは,まだ戦いが終わっていないからなのでしょう。
戦いがなければ,私服でも良いのですしね。
今は事情を説明している暇はない。教皇の間へ急ぎ給え。今,ペガサスが一人で苦戦中のはず。時間もあと僅かしかない。
文庫版『聖闘士星矢(7)』P129
時空のねじ曲がったところからでも,聖域で行われている戦闘を見ていたんですね。
すごい透視能力です。
鳳凰星座の聖衣は一握りの灰さえあれば蘇るということで,シャカの小宇宙を受けて蘇る一輝の鳳凰星座聖衣。
いくらシャカでも,そこまでエネルギーは持っていないと思います。
黄金聖闘士の小宇宙を受けて蘇った聖衣なので,以前にもまして美しさと輝きを増しているようです。
聖闘士の血ではなく,小宇宙で蘇るなんて,小宇宙を与える聖闘士にダメージを与えないですし,ホント,優秀な聖衣です。
もし教皇を追い詰めることが出来たとしても,命だけは助けてやってくれないか。
教皇は決して悪なのではない。彼の本体は紛れもない正義なのだ…しかし…い…いや…今はすべてを語っている時ではない。さあ,早く行きたまえ
文庫版『聖闘士星矢(7)』P130,131
確かに本体は正義であったのは確かです。
本体は正義でも…,その謎が30年以上も経ってからチャンピオンREDの読み切りで明かされることになるとは,思いもしませんでした。
迷いが生じた辛さ,このシャカの心のなかにはじめて…。その迷いを植え込んだのは君だ。さあ,行きたまえ。
文庫版『聖闘士星矢(7)」P131
迷いも葛藤もない人間なんて,嫌だ。
仏教の開祖お釈迦様は,迷いに迷いまくって,迷いきった先に悟りをお開きになったのだから。
命ある限り
五感を失ったせいやから,強烈な小宇宙が発せられています。
これまでの青銅聖闘士たちの戦いぶりを観ているのならば,
五感剥奪は小宇宙増大のフラグ
だということに気づくはずなんですけど,青銅聖闘士たちがここまで来るとは思わずに舐めていたから,観てなかったのでしょうね。
五感を失った常態からのペガサス流星拳。
な…なにか今星矢の流星拳の速度が高まっているような気がしたが…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P137
マッハ1
マッハ10
マッハ35
マッハ120
光速を音速に変換すると,確かマッハ80万ぐらいだったと思います。
120/80万で,何を日和っているんだか…。
とはいえ,実際に流星拳は光速の域に達したのです,指数関数的に速度が増加していったのでしょう。
にしても,到達するまでの時間が早すぎます。
光速拳の威力は無限大に近くなっているのですが,それだけの威力の拳を受けても,ほんの1mぐらい飛ばされるだけという…。
光速拳を受けてのダメージも,物理法則を無視しています。
心の小宇宙
五感を失った星矢は,アテナ神殿の方向がわかなくなってしまいます。
しかし,星矢の心の小宇宙には,アテナ神殿の位置が見えました。
はってでも行こうとしたけれど,その途中に双子座が倒れていたのが運の尽き。双子座の拳がガッツリ星矢の腹にのめり込んでいるんですけど…。
五感を失ったことに油断したのか,一瞬のスキをつかれて星矢に背後を取られることになります。
そこからの,ペガサスローリングクラッシュ。
教皇の間の石造りの屋根をぶち破っているので,普通なら,そこで死んでしまうはずですが,聖闘士は死にません。
星矢は視覚を失っているはずなのに,何故か十二宮の火時計の炎が消えかかっているのが見えました。
心の小宇宙で見ていたのでしょう。
白銀聖闘士のミスティーは,ペガサスローリングクラッシュで界面に叩きつけられて死んでしまいましたが,双子座は石床に叩きつけられても平然としています。流血すらしていません。
すごい石頭というよりも,どんな血管をしているのでしょう?
頭が無事でも,頭を打てば血管が切れてコブが出来たり,皮膚が切れればそこから流血するものですが,コブも,流血もありません。
サガに止めを刺そうとすると,突然涙を流し始める双子座聖衣のマスク。
金属の防具のどこに,これほどまでの水分子が存在していたのでしょうか?
熱き血潮の兄弟たち
処女宮に戻った一輝は教皇の間へと急ぎます。
教皇の間へと続く道は,一輝にとって兄弟たちに謝罪して仲直りする道でもありました。
磨羯宮
磨羯宮に一輝が到着すると,タイミングよく紫龍が空から落ちてきます。
磨羯宮での戦いから,少なくとも2時間以上は経過しているので,1時間かけて宙に上り,1時間かけて地上に落ちてきたということになります。
計算上(空気抵抗なしの場合),少なくとも63,547km上空から35,303m/秒で落ちてきたということになります。
落ちてきたときの速度,約マッハ10です。
上空100kmから宇宙と定義されているので,紫龍は生身の体のまま宇宙空間まで飛んでいったことになります。
生きているのが不思議
山羊座の聖衣に守られていたとはいえ,生きているのが不思議です。
宝瓶宮
倒れている氷河は目に付きますが,同じくその近くに倒れているであろうカミュは全く視界に入らないようです。描写すらされていません。
それとも,すでに埋葬されてしまったのか…。
俺は幼い頃,運命をとてつもなく呪ったことがある。だが今は,逆に感謝しているぜ。宇宙の生命から比べればまばたきほどの時間もない人間の一生で…おまえらのような男と兄弟としてこの世に生まれてきたことをな…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P160
氷河は一輝のこの発言に同意します。
でもね,自分の命を顧みず,戦わなければならないような人生なんて嫌だ。
双魚宮
宝瓶宮に引き続き,瞬のそばに倒れているはずのアフロディーテの描写が全くありません。
星矢にもかつて言われたが,地獄のような思いをして帰ってきたのは俺だけじゃない…。瞬よ,初戦は俺が一番弱虫だったのさフッ…
文庫版『聖闘士星矢(7)』P163
暗黒聖闘士編で兄弟で戦い合わなければならなかったことの謝罪をしています。
素直ではないけれど,一輝なりに反省して,謝っているのですね。
同じ時代を分かち合って生まれてきた,熱き血潮の兄弟たちよ!!
天下
涙垂れ流し状態の双子座のマスクをみて,同様を隠しきれない双子座の聖闘士。
力のある者が天下を治めて何が悪い!?
そうしなければ,この地上など,とっくに奪われてしまうのだ。天界にはゼウスが,海界にはポセイドンが,冥界にはハーデスが常に虎視眈々とこの大地を狙ってきたのだ!
彼らに匹敵する力を持つものが地上を治めねば,跡形もなく世界は彼らに侵略されてしまうのだ!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P166,167
半分は合っていて,半分は間違っていると思う発言です。
確かに,力のあるものが天下を治めなければ,他からの侵略をたやすく受けてしまいます。
しかしその力のあるものが善なる者であればよいのですが,悪の独裁者になってしまうと,下々の者は地獄をみます。歴史を見れば,そのような例は至るところにあります。
そして自分がこの時代の救世主なのだと言い切ってしまうなんて,三十路前の男が言うような台詞ではありません。どんだけ自惚れているんだか。
邪魔するものはことごとく葬り去るだけだ!!
文庫版『聖闘士星矢(7)』P168
邪魔するものをことごとく葬り去るというものも,歴史を見れば枚挙に暇がないほど,危険な思想です。
双子座の聖闘士が星矢に止めを刺そうとしたところ,間一髪で一輝が助けに入りました。
タイミング良すぎますね。
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