第42話『バラの葬列の巻』の感想ツッコミ

ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。

十二宮もいよいよ最後の砦,双魚宮へとたどり着きました。

この双児宮の戦いで,「聖闘士最強キャラは,瞬じゃね?」説が誕生することになります。

目次

本編

男らしく

あいつが魚座のアフロディーテ…しかし本当にあれが男かよ

文庫版『聖闘士星矢(7)』P9

星矢はアフロディーテのことを言っているのですが,星矢の隣には銀河戦争の第8話で「とても男の人には思えな~~~い」なんて言われていた瞬がいます。

女顔で,しかも女性のイメージが強いアンドロメダ星座の聖闘士です。気にしていないわけがありません。

瞬は聞き漏らしませんよ。

男だったらとか,男のくせにとかいう言い方は好きじゃないんだけど…,あの男を倒すのに誰かの力を借りたとしたら,僕自身男じゃなくなるような気がするんだ…。僕は男だからね,恩を受けた人の仇は僕自信の力で打ちたいんだ…

文庫版『聖闘士星矢(7)』P10

星矢の言ったこと,瞬は絶対気にしています。

おそらく内心怒っています。

生物学的に,急所でも狙われない限り,男が男でなくなるようなことはありません。

とりあえずここは星矢を先に行かせて,瞬はアフロディーテと1対1の勝負を仕掛けます。仲間と力を合わせて強敵を倒すようなことがほとんど無く,ほぼ必ずと言っていいほど,1対1のタイマン勝負になるのが,車田作品です。

鬼滅の刃の最終戦で,みんなで無残を倒すのを読んだ後だとなおさら…ねぇ…,いや,別に良いんだけど…。

アフロディーテを飛び越える星矢に対し,アフロディーテは口に加えていたバラを星矢に向けて口で吹いて飛ばします。星矢はそれを叩き落とします。

アフロディーテはバラを横に咥えていたはずなので,それを飛ばすためには咥え直さないと吹き飛ばせません。

手を使わずに咥え直すなんて,なんとも器用な舌捌きです。さすが黄金聖闘士!

ちなみに星矢は右足が折れているはずなのですが,作者は折れていることなんて,おそらくきっと忘れているのではないでしょうか。

バラの葬列

双魚宮と教皇の間の間に何があるか教えてくれるアフロディーテは,やはり良い人。

教皇の間へと続く道は無数のバラといばらによって覆われています。

バラの道で意識を失って倒れる星矢。

バラの花がクッションになっているかのような倒れ方ですが,バラにはがあります。

それだけで顔は血だらけになっていそうですし…,痛そう…。

それはただのバラではない。魔宮薔薇といって,古代侵略者を防ぐために王宮の庭に植えられた猛毒の薔薇なのだ

文庫版『聖闘士星矢(7)』P16
バラに毒は存在するのか

実際のバラに毒は存在しません。

バラの棘には毒があるのではないか?と言われることがあります。

バラの棘に刺さると痛いですし,傷口から雑菌が入るとそこから化膿したりしてすることから,「ひょっとして,バラには毒があるのでは?」と思われることがあるようです。

特に昔は病原菌に関する知識もなかったですし,衛生観念もありませんでしたからね。

アンドロメダ等のケフェウス?

師匠のケフェウス座のダイダロスを倒したのがアフロディーテということで,アフロディーテは師の仇敵となります。

しかし,アフロディーテにとっては,一瞬「」な反応。

アフロディーテにとってダイダロスは,教皇の勅命に従って成敗してきた数多くのうちの一人に過ぎないのでしょうから,誰がどうとかいちいち気にしていられないでしょう。

ダイダロスがアフロディーテに殺されたという話は,瞬は聖域に乗り込む前にジュネから聞いていることが明らかになりました。

裸にサスペンダーの瞬に,自ら仮面を外したジュネさん…,ただならぬ関係であることは間違いないでしょう。

なるほど,美しい師弟愛というところか。だがそのジュネとかいう娘のいうとおり,日本でおとなしくしていたほうが良かったぞ…フッ

文庫版『聖闘士星矢(7)』P19

ということは,ここは瞬の単なる回想ではなく,アフロディーテにこういうことがあったということをいちいち説明していたですね。

アフロディーテvs. 瞬

魔宮薔薇の説明と瞬の自分語りが終わり,ようやく戦闘開始です。

先攻,瞬。

とりあえず星雲鎖でアフロディーテの腕を捕らえますが,もちろんそんなものは簡単に弾き返されてしまいます。逆にロイヤルデモンローズを食らうことになります。

デモンローズは双魚宮と教皇の間の間に敷かれている薔薇と同じものなのですが,どこからそんな薔薇を取り出してきたのでしょう?

装身具を使用した技とされていますけど,魚座聖衣のどこにあるのでしょう?謎です。

薔薇をどこかで栽培していて,それをテレポーテーションして使用しているとしか考えられないのですけど…。

ロイヤルデモンローズは吹き飛ばされてはいますが,傷をつけるような技ではないように見えます。ただ単に,薔薇を投げて,その香気で相手の五感を奪いような技のようです。

ん?五感を奪う技……。

それって,フラグじゃん!瞬がセブンセンシズに目覚めるフラグじゃん。

僕は目をつぶって死ぬまで陶酔に浸るような弱虫じゃない。別れの間際,兄さんにも約束したんだ…最後まで男らしく戦うと!!今こそ本当の僕の力を見せてやるぞアフロディーテ!!

文庫版『聖闘士星矢(7)』P25

今までの瞬の戦いはすべて本気ではなかったと…(暗黒アンドロメダにダンテ…)。

本気?モードの瞬

さあ,円鎖が僕の体を取り巻いた。これであなたがいかなる技を仕掛けようと,決して僕を傷つけることはできない。

文庫版『聖闘士星矢(7)』P27

瞬は青銅聖闘士で,アフロディーテは黄金聖闘士。

黄金聖闘士のアフロディーテから見て,この発言は,平静を装っていても「おまえ!誰に対して物を言っているのか分かっているのか!」と思っていたのではないでしょうか!

後輩からこんなことを言われたら,普通にムカつきます。

でも本当に,アフロディーテの次のロイヤルデモンローズは瞬のローリングディフェンスにいとも簡単に弾き返されてしまったのだから,恐ろしい。

その後に続く瞬の星雲鎖の攻撃に,花がすみのように溶け込んで消えるアフロディーテ…。

アフロディーテにこんな防御技があっただなんて…,存在を忘れていました!名前のない技ですけど,立派な防御技だと思います!

姿を消しても相手を見つける星雲鎖…。どんだけ高性能なんだか……。

双児宮のときと言い,双魚宮と言い,黄金聖闘士相手だろうとお構いなしですね。

アフロディーテがびっくりしすぎて硬直するのも無理はありません。

サクリファイス

ここで瞬の修行時代の回想シーン。

アンドロメダ島は火山島で,牛のような大型動物の骨が転がる砂漠。

砂漠に生息する大型動物はラクダぐらいなものなので,元々は緑豊かな島が火山ガスによって突然すべての生物が死に絶え,砂漠化したと言ったところでしょうか?

溶岩台地でも,冷えてしまえば数年すれば地衣類ぐらいは生息するようになるので,常に火山ガスが流れているような場所なのかもしれません。

デスクイーン島と何が違う?

アンドロメダ島へ来てから4年ということは,ジュネは12歳の時。

12歳とは思えないほど,すでに出来上がった女性体型をしています。

瞬には聖闘士になるなんて無理だよ。聖闘士とは,女神を守り,正義を守るために己の肉体を武器として戦わなければならないのだから。

瞬は戦いに向いていない!どんない背伸びしたって無理だんだ!

文庫版『聖闘士星矢(7)』P36

瞬に負けず劣らずジュネさんも優しすぎて,聖闘士になるのは無理なんじゃないかと思えてしまいます。

先生,これはサクリファイス!ム…無理です,瞬には…!!

文庫版『聖闘士星矢(7)』P38

サクリファイスがどんなものか見たことがあるような台詞。

ということは,サクリファイスを受けるのは瞬が初めてではなく,瞬の前にアンドロメダ候補生がいて,サクリファイスを受けたものの失敗している人がいたということでしょう。

岩に縛り付けるのに使用するのは,アンドロメダ聖衣の2本の鎖。

ということは,アンドロメダ星座の聖闘士にふさわしいと聖衣が認めたものでない限り,鎖から抜け出すことはできないということになります。

満ちる潮に呑まれて溺れ死にそうになった時,瞬の小宇宙が爆発し,見事にサクリファイスをクリアしました。

黒バラ

瞬のサンダーウェーブを黒バラであっさり受け止めてしまうアフロディーテ。

金属製のチェーンとは違い,薔薇は柔らかい花のはずですけど,ピクリともしません。

柔らかい薔薇を小宇宙で瞬間的に超硬いものに変化させているのでしょうか。少なくとも青銅聖衣よりも硬いものに変わっていそうです。

黒バラのピラニアンローズが鎖を取り巻いて,鎖を破壊していきます。

黒バラの棘はピラニアの牙のように,たとえいかなるものであろうと触れるものすべてを砕くのだ。

文庫版『聖闘士星矢(7)』P57

絵的には,棘ではなく花が宙を待って鎖を攻撃していたようにみえるんですけど…。

ピラニアンローズはさらにアンドロメダ聖衣までも破壊します。

鎖も聖衣も破壊されて瞬の小宇宙はどんどん増大し……。

その増大の仕方,紫龍以上かもしれません。紫龍は小宇宙を高めるために聖衣を脱ぐのが常態化していますが,瞬も脱いだほうが強い可能性があります。

本気!モードの瞬

再び瞬の回想シーン。

アンドロメダ聖衣を手に入れ,いよいよ日本へ旅立つ時,師匠のダイダロスにだけ本当の力を見せます。

瞬が師匠を攻撃した瞬間ではなく,瞬とジュネがそのバを去った後に白銀聖衣が破壊されていたことが示されます。

何という遅効性!

なぜその時ダイダロスが聖衣を纏っていたのかはわかりませんが,なにか危険でも感じていたのでしょうか(アフロディーテが襲ってくることとか)。

ここで瞬が師匠の聖衣を破壊しなければ,アフロディーテに手も足も出ずに負けることはなかったかもしれません。一糸ぐらい報いることができたのかもしれません。

瞬は悪い子ですね。

アフロディーテ,ここまで僕を追い詰めたあなたのせいだぞ。今こそ受けろアフロディーテ!この瞬の真の力を!!

文庫版『聖闘士星矢(7)』P59

あんた何様?というぐらい自惚れた台詞にも聞こえます。

ネビュラストリームでアフロディーテを投げ飛ばし,しかもアフロディーテの体すら拘束します。

私の周りの空気の流れが渦となってストリームを巻き起こしている!!

文庫版『聖闘士星矢(7)』P67

双児宮内部は,台風並みの強風が吹いているようには見えないのですけど…。相当器用にアフロディーテの周りにだけ局所的に気流を操作しているのかな?

光速の動きができる黄金聖闘士なら,それぐらい屁でもないと思うのですけどね…。

正義とはなにか

瞬はアフロディーテに対し,ダイダロスに謝って欲しいようなことを言っていますが,

謝れば済むと思っているのは日本人ぐらいなもので,外国では謝って済む問題ではないのが一般的です。アフロディーテが謝らないのは外国人としては正しい行動です。

動きをネビュラストームに囚われていても,白バラを取り出すアフロディーテ。

何が正義で何が悪かもわからんヒヨコのくせに…。最後だから教えてやる。いいか,力こそ正義なのだ!(中略)教皇こそ,その偉大な力を持ったお方だから,この聖域を手中におさめるのにふさわしいのだ。

(中略)教皇がいたからこそ,大地の平和が今まで守られてきたのだ。

文庫版『聖闘士星矢(7)』P68,69

アフロディーテの名言だと思います。

大人になるに従い,アフロディーテの言っていることの方が正しいと思えるようになりました。

世の中,脳内お花畑の理想主義のままでは何も解決しません。現実を見据え,今あるリソースで自分が何をできるのかを考え,ほんの1ミリでも良いから変えることができたのなら…。

そもそも何かを成し遂げるためには,力がなくては何もできません

アフロディーテが言っていることは,13歳の瞬にはまだ理解できなかったのかもしれません。アフロディーテは9歳にして理解してしまったことなんですけどね。

そしてお互いに最後の一撃となります。

アフロディーテは白バラによるブラッディーローズ,瞬はストリームをストームに変化させた攻撃となります。

ストリームに縛られて不自然な無理な体勢から,瞬の心臓に白バラを命中させるとは,さすがは黄金聖闘士です。

そして白バラが心臓に刺さった状態で,ネビュラストームを放つ瞬。

白バラで相手をじわじわと殺すのではなく,即死させる技であったならば,勝負はアフロディーテが勝っていたはずです。

アフロディーテが死んで,瞬が生き残るんですよね…。

地球には,地図にあるような国境線なんてどこにもないんだね。(中略)戦争をするとたくさんの人が死んで大勢の子供達が親を失うって,神父さんが言ってたよ。

(中略)できることなら,いつか僕は平和を守るために力を尽くしたいな。

文庫版『聖闘士星矢(7)』P76,77

戦争が起こってもいなくても,どこかの国では人々を強制連行していたりして,大勢の子どもたが親を失ったり,子供を失った親が大勢いたりしますけどね。

現実に…。

力こそが正義とは言い切れないけど,正義を守るためには力が必要なんですよ。

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