第40話『シュラ!聖剣を持つ男の巻』の感想ツッコミ

ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。

目次

本編

一人磨羯宮に残った紫龍。そして先に行った他の青銅聖闘士たちとの間には,シュラの聖剣によって形成された断崖絶壁。

十二宮編の最後では,沙織お嬢さんが教皇宮まで駆け上がるので,磨羯宮での戦いが終わって教皇との戦いが終わるまでの3時間の間に復旧したのだと思われます。

3時間でこの断崖絶壁を埋めて元通りにするなんて,聖域には土木工事に必要な重機はなさそうなので,きっと雑兵たちが手掘りで…。

ご苦労さまです。

そしてこういうときだけは冷静な氷河。

いくぞふたりとも。こんなところでモタついていたら,身を挺して磨羯宮に残った紫龍の気持ちが無駄になる……

文庫版『聖闘士星矢(6)』P225

氷河はあっさりしていますが,星矢と瞬は後ろ髪を引かれる思いで磨羯宮を後にします。

エクスカリバー

アイオロスの無念も込めてすべての小宇宙を俺に叩きつけるだと。

俺は実力もないのにでかいことをいうやつが嫌いでな!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P226

シュラの名言です。

星矢や紫龍の13,14歳ごろというのは,ついついでかいことを言ってしまう口だけ番長になりがちなお年頃です。

紫龍が言った言葉も,傍から見れば大口を叩いていますからね。

中学生のガキが23歳のお兄さんにいうような言葉ではありません。

シュラは上記の台詞とともに,手刀を一振り。

な…なんという拳圧だ。足とともに地面までさくとは…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P227

紫龍の脚はつながっているのに,なぜか地面が切れています!

紫龍の脚は上面が切れているので,手刀は上から振り下ろされているはずです。どうやって紫龍の脚を切り落とすことなく,地面を裂いたのか…?

謎だわ…。

今さら何を驚いている。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P227

そうは言っても,紫龍の脚を切り落とさずに地面が切れていることに驚きますけど。今さらというか,どうやったらそんな器用な芸当ができるのかと…。

さすがは黄金聖闘士。やることが違います。

拳というよりも剣ということで

俺の両手両足はすべて鋼のように研ぎ澄まされている。その威力は黄金聖闘士十二人の中でも最強なのだ!

俺の手刀はいかなるものでも切り裂く聖剣と呼ばれているのだ!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P228

両手両足が鋼のようと言いますが,未だにシュラが足による手刀ならぬ足刀が繰り出されているところを見たことはありません。

本当に足も研ぎ澄まされているのでしょうか?

紫龍はシュラの次の一振りを交わしつつ,廬山昇龍覇を放ちますが,シュラにはあっさりかわされて,昇龍覇勢いをそのままにジャンピングストーンを食らってしまいます。

このときのシュラの動きは,体操選手のように身が軽く,流れるような滑らかな動きをしていたのではないかと想像します。

体術に関しては,黄金聖闘士一であることに頷けます。

車田漫画では珍しい,足技

シュラには昇龍覇が通用しないことに紫龍は驚いていますが,そもそも相手は黄金聖闘士です。青銅聖闘士の技がそんなに簡単に通用してもらっては困ります。

シュラはニヤリとした笑みを浮かべて,そのまま手刀で龍星座の盾をきれいに真っ二つに切っただけでなく,そのまま紫龍の聖衣を剥ぎ取ってしまいます。

紫龍から聖衣を取り上げて生身の体にしてしまうのって,それフラグですから…!

春麗の祈り

その頃春麗は,紫龍が真っ二つに切り裂かれる夢を見て飛び起きます。

五老峰とギリシアでは,4時間ぐらい時差があります。

人馬宮を出たことで太陽が沈んでいるということを考えると,紫龍がシュラと戦っているころ,中国は深夜ということになります。

心配のあまりなかなか寝付けないのか,眠りが浅かったのか…。春麗はぐっすりと眠ってなんか居ないでしょう。

紫龍が戦いの中にあることは,老師にも伝わっています。

ギリシアと中国五老峰と,こんなに距離が離れていても,弟子の動向が分かるものなんですね。素晴らしきかな小宇宙!

起死回生

紫龍はシュラの手刀であちこち傷だらけになりながらも,真剣白刃取りで手刀を交わし,反撃のチャンスを伺います。

手刀を跳ね返し,まずはシュラをふっとばして距離を取ると,小宇宙を燃やし始めます。

昇龍

紫龍の背中一面に龍が浮かび上がり……。

シュラと紫龍は退治しているのだから,お互いに正面を向いているはずなのに,シュラはなぜ紫龍の背中の龍に気がついたのか?

紫龍は髪が長いので,背中の龍は髪の毛で隠されているので,気づきにくいはずです。

紫龍はシュラに見えるようにわざわざ背中を向けていると思われるのですが,敵に背中を向けるなんて,やっては行けない行為ではないでしょうか。

紫龍はシュラに背中を向けて,背中の龍を向けています。

シュラもシュラで,この時紫龍にスキができているのだから,この時「攻撃すればいいのに…」と思わなくもないのですが,聖闘士の戦いの美学に背くのでしょうね。

くっ,この桁外れの攻撃…今までとは別人…まるで…まるで龍神が紫龍の体に乗り移ったようだ!

(中略)

紫龍は無意識のうちにセブンセンシズに目覚めているのか!?

文庫版『聖闘士星矢(6)』P244,245

聖衣を脱いだ方が小宇宙が燃える男の本領発揮!

聖衣の役割って,なんだろう…?

背水の陣

紫龍は廬山昇龍覇を放とうとします。

フッ,小宇宙は段違いに高まったが,おのれの弱点には気づいておらんようだな。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P246

技を放つときに一瞬だけ心臓ががら空きになるという廬山昇龍覇の弱点。

星矢が気づいたぐらいなのだから,シュラだって気が付きます。

シュラが紫龍の心臓に手刀を突き刺すのに合わせて,紫龍はシュラの左腕めがけてパンチ。

真っすぐ進んでいる物体に対し,横から力を加えたところで前進することに変わりません。止まることなんてありません。

横から力を加えたのなら,そのまま横にそれて切り裂かれるはずなのですけど…。

心臓を貫通することは免れても,やはり横方向に傷が走っていなければおかしい…。

そんな捨て身の紫龍の戦法に,怯み始めたシュラ。

心臓にもそれなりにダメージがいった紫龍は,もうフラフラ。

シュラはそんな紫龍に止めを刺そうとしますが,紫龍は転がりながらもシュラの攻撃から身をかわします。

捨て身の攻撃

い…言ったはずだぞ。五体全てが飛ばされても,一人では死なんと…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P252

フラフラなのに,さらに小宇宙が増大する紫龍。

紫龍のどこにそんな力があるのかと,シュラもビビります。

ビビルを通り越して,ショックを受けてます。

おそらく,シュラが今まで戦った相手の中に,紫龍のように倒されても倒されてもゾンビのように立ち上がってくるような相手はいなかったのでしょう。

ろ…老師,お許しください…。この紫龍,老師の戒めを破ります…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P253

廬山亢龍覇

昇龍覇を昇華させて亢龍覇を会得するまでに至った。

(中略)

だが残念なことにその絶対の威力にお前の肉体も耐えきれんのじゃ…。いわば亢龍覇はどんな強敵も滅ぼすかわりに,自らの身も滅ぼす諸刃の剣…。使えば紫龍自身も死ぬのじゃ!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P255

使ったら死ぬ技を,紫龍はどうやって会得したのだろう…?何事もやってみなければ,会得できたのかどうか分からないと思うのですが…?

寸止めでは,できるようになったのかどうかなんて,本当の意味でわからないような気がします。

我が大恩ある老師に禁じられていたただ一つの技…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P256

老師という言葉を聞いて,天秤座の老師であることが分かるシュラ。

老師と呼ばれている人は,聖闘士界では童虎ただ一人であり,聖闘士なら誰でも知っている存在であることが分かります。しかし紫龍が老師の弟子であることをもともと知っていたかどうかは不明です。

シュラの背後をとって羽交い締めにして,空へと飛んでいく紫龍…。

この構図…,一輝がシャカの背後をとって羽交い締めにして異次元空間へと飛んでいった構図と全く同じです。

シュラといい,シャカといい,増大する小宇宙にビビって怯んでいるうちに背後を取られるなんて,青銅聖闘士相手だからといって舐めプしすぎです。

昇龍

シュラを道連れに,天高く登っていく紫龍。

その龍の姿は,小宇宙の動きによって仲間の青銅聖闘士たちが気づき,振り返ります。

五老峰では,流星が天に向かってまっすぐ登っていく姿でとらえられます。

五老峰とギリシアでは,距離が離れすぎているので,いくら天高く登ったとはいえ,姿を捕らえられるとは考えづらいです。相当輝いていなければ見えないはずですし。

そんなに輝いていたら,翌日天文学的大ニュースになっていそうです。

紫龍,お前は自分のためよりも義のために生きる男…。人のために命を捨てられる男…。

情のためよりも義のために生きることは素晴らしいことじゃが…,悲しいな,紫龍よ…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P264

今の中国に,紫龍のような生き方をする人はどのくらいいるのだろうか?

義のために生きている中国人の話は,あまり聞いたことがないです。

女神のため

自分が死んでの手に入れる勝利に,何の価値があるのか?

同じ質問をシャカが一輝にもしていました。

自分が死んでも手に入れる勝利は,ミツバチの世界ではありますね。スズメバチからの攻撃から巣を守るために,老兵がスズメバチに突進し,熱を発生させてスズメバチを熱死させるの…。

昆虫界であるのだから,人間界でもあって不思議ではないです。ただ,死ぬのが老兵ではなく若者であるところが昆虫の人間の違い…。

シュラよ,聖闘士なら分かりきったこと…女神のためだ!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P265

聖闘士はなぜ存在するのか,その存在意義を問いただすような答えです。

女神のために聖闘士は存在する。

そのことに何の疑問を持たないことが不思議です。疑問を持たないほどに,洗脳されきっていると考えられます。紫龍は特に真面目ですから。

そして十二宮の戦いを通じて沙織さんが女神だと確信を持ち,自分たちのような不幸な子供たちがいなくなるのなら,紫龍一人の命はやすいらしいです。

しかし,沙織さんがいたから紫龍たちは不幸になったのでは…?と思わずにはいられません。

そして紫龍と一緒に飛びながらも,

オ…俺は人間はすべて自分のために戦うのだと思っていた…(中略)

たとえ教皇が悪であれ力を持って貫けば正当化されるのではないかと思っていた……力のあるものが…勝ったものが正義を名乗る資格があるのだと思っていた

(中略)

紫龍よ,お前は死んではならん

文庫版『聖闘士星矢(6)』P267

勝てば官軍,負ければ賊軍。

今なら,シュラの言っていることの正しさも分かります。勝ったほうが正義です。強いものが正義です。歴史を紐解けば,そんな例はいくらでもあります。

中二病的には間違っているかもしれないけれど,シュラの考えは間違ってはいません。

空高く飛んでいった紫龍の小宇宙が消えたことに,星矢たちは悲しみます。死んだのかと思って悲しみます。

でもたぶん,小宇宙が届く範囲より外に出ただけだと思います。

「小宇宙の消滅=死」ではありません。

シベリア師弟

磨羯宮の次は宝瓶宮。

氷河の師匠,水瓶座のカミュが守護する宮です。

弟子の氷河を他人の宮である天秤宮で氷漬けにするような師匠です。

何人たりともいれさせたくない師弟関係。氷河は星矢と瞬に先を行かせます。宝瓶宮を通って先に行かせることにカミュは何も言わないので,カミュもまた,他の者に邪魔されたくないのだと思います。

氷河…私はな…いや…もはや何も言うまい………

文庫版『聖闘士星矢(6)』P277

なにか言え,何も言わないと,何も伝わらないぞ!

フランス人も,ロシア人も大陸人。大陸人は自分の考えを主張してなんぼ。日本人のように以心伝心なんていう言葉は辞書にないと思います。

そして,カミュと氷河の師弟対決に入ります。

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