第38話『死すとも進む!の巻』の感想つっこみ

ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。

目次

本編

前回,氷河がホーロドニースメルチでミロをふっ飛ばしたところから始まります。

ちなみにここで蠍のマスクが外れます。

頭を防御するはずのマスクが,こんなに外れやすくて大丈夫なのかと小一時間問い詰めたい。

ふっとばされたところで,ミロは余裕で空中で体勢を反転させて,頭を下に向け,氷河に忠告しています。

しかも次の次のページでは普通に立って登場しているので,着地する時は再び反転していたと思われます。

頭を下に向ける意味が分かりません。

なお,ミロの忠告によって,

針の穴ほど小さかったスカーレットニードルの傷跡が大きく口を開け,血を吹き出すとは!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P172

出血を起こすと,動物の体では血小板たちが止血のために働きだしますが,スカーレットニードルはそのような人体の防御反応すら停止させてしまうようです。

針の穴ほどの小さな傷なら,出血はすぐに止まるという経験は,誰にでもあると思います。

それが止まらない……。

それどころか,かなりの勢いで急に血を吹き出しています。

失われゆく五感

出血とともに感覚がなくなっていきます。

傷跡から血が流れていくにしたがい,おまえの視覚や聴覚,嗅覚,触覚,味覚がことごとく失せていくのだ。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P173

血液が失われていけば,酸素不足になってすべての感覚がなくなり,意識をも失うものなので,技の効果というよりも,出血による作用と考えられます。

スカーレットニードルは,相手に傷を与えるよりも,体の止血作用を停止させて,体を流れる血液を奪うという側面の方が恐ろしい技であることが分かります。

五感を失う前にミロを倒すという氷河ですが,すでに思考能力なんてない感じです。

とりあえずミロに殴りかかっては見たものの,簡単に避けられて横からどつかれて,白鳥星座のマスクがポロリと床に…。

蠍座のマスクも外れやすいが,白鳥星座のマスクも外れやすい。頭を防御する気のない聖衣のマスク……。良いのか?それで?

我が師カミュ

わからずやめ。おまえにはカミュの気持ちがわからんのか!

カミュがわざわざ天秤宮まで出向いていって,おまえを氷の棺に閉じ込めたのは,おまえを死なせたくなかったからだ。

たとえ仮死状態のままでも,幾星霜ののち,きっと蘇る日もこよう…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P174

何も言わなければ,何もわからないですよ。

相手の気持を察するなんて,日本人ならありかもしれないけど,多くの民族が覇権を争っていたヨーロッパなんて,自己主張してなんぼの世界です。

氷河は半分日本人とはいえロシア(連載当時はソビエト連邦)生まれのロシア育ちですし,カミュはフランス人ということを考えれば,お互いに自分の気持ちなんて言い合わなければわからない人たちのはず…。

カミュは氷河に何も言っていなかったから,氷河が知る由もありません。

一方,ミロはカミュの気持ちを知っていたということは,天秤宮からの帰り際,氷の棺に閉じ込めた理由について話し込んでいた可能性がありますね。

弟子の氷河に言うことはできなくても,ミロなら言えるということは,それだけミロを信頼していたということですね。(脳内勝手に親友設定の出来上がり)

あと,幾星霜ののち蘇ったとしても,蘇った先が人類滅亡後の世界だったら嫌です。

六年前

氷河の回想,六年前にカミュに弟子入りした時の思い出。

氷河7歳,カミュ14歳。

小学生が中学生に弟子入りをする世界です。小学4年生の魔鈴に弟子入りした星矢よりは遥かにマシか……。

周りは氷の世界。

氷が氷で居続けるためには,年平均気温が-5℃以下の世界である必要があります。

聖闘士であるカミュは理解できるとして,まだ聖闘士になっていない7歳の氷河がすでにノースリーブで氷の大地に立っています。

おまえは何のために聖闘士になりたいのだ?強くなりたいからか…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P176

師匠である7歳ですでに黄金聖闘士になっていたカミュは,なんのために聖闘士になったのだろう?

7歳の子どもが,女神のために…,愛と正義のために…,なんて理解していなかったと思う。

14歳でも理解しているのかどうかと問われると,中二病的には理解していると思っているのかもしれません。カミュ自身にも問うてみたい。

氷河にとって聖闘士になる目的は,海に沈んだマーマを引き上げるため。7歳の子どもらしいといえば子どもらしい。

永久氷壁といって,何万年も溶けたことのない永遠の強さをもっているのだ。(中略)

あの永久氷壁のような強さを持て!!

太陽の光にさえも溶かされることなく,この地上に存在し続けてきたのだ!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P177

最近は,永久凍土が溶けてきて問題になっているので,溶けないということはありません。しかし,氷河期から存在し続けているのは本当のこと。

よいか,どんな強敵を前にしても,つねにクールでいろ。このシベリアの永久氷壁に真の強さを学ぶのだ,氷河!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P177

カミュがクールでいられたことは,今まであったのだろうか…。

兄弟たち

ミロは,「カミュに免じて命だけは助けてやる」と言っていますが,カミュから氷河のことをいろいろと聞かされていなければ,こんな態度はとれないと思います。

スカーレットニードルは,数日もすれば五感は戻ってくる技らしいですけど,相手に全く致命傷を与えていない必殺技って,必殺技と言えるのか,甚だ疑問に思います。

15発中14発しか打っていないこともありますけど……。

ただし,五感が戻ってくるまでの数日間は,激痛に耐えなければならないのかもしれません。

兄弟である星矢たちが必死で戦っている中,生き延びんがための眠りなどについていられるか。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P178

仲間が必死に戦っている中で,自分だけが生き延びるなんて,卑怯者のすることで,お事がすることではないという心情は理解できます。

ですが,このような状況を「神に感謝している」って,いや,ありえないでしょう。

誰が好き好んで,生きるか死ぬかの戦場に行きますか?!?

死すとも進む

カミュ,きいたか…,宝瓶宮にいるカミュよ,今の氷河の声が聞こえたか!

(中略)

俺は今から全力を持って氷河にとどめを刺す!それは俺が氷河を認めたからだ!よいなカミュ!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P179,180

やはりミロとカミュは,事前に何か打ち合わせをしていたとしか思えません。

氷河が他の黄金聖闘士ではなくミロに倒されるのなら,構わないと思っていそうです。

作者の車田先生は否定していますが,深読みしてもしなくても,ミロとカミュは気心の知れた間柄ではないかと思わずにいられません。

氷河よ…おまえは死すとも進むのだろう…

女神のために…友のために…ああ,氷河よ…!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P181

カミュは城戸沙織が女神であることを知っていそうな台詞です。

おそらく真の女神だと確信しているのではないでしょうか。

最後の一撃

氷河の力は最後の一撃分しか残っていないということで,最後の力を振り絞って小宇宙を高めてダイヤモンドダストを放ちます。

対するミロは,スカーレットニードルの総仕上げのアンタレスを撃ちます。

小宇宙の高まりに,人馬宮へと向かっていた紫龍と星矢も思わず振り返ります。(まだ人馬宮にたどり着けない紫龍と星矢…)

勝敗は…

ミロがアンタレスを撃ち込む間に,氷河は蠍座の15の星を凍気としてミロの体に撃ちます。ミロの星命点ですね。

星命点

聖闘士にとって自分の守護星座の星の形が,そのまま自らの急所になっている

聖闘士を倒すには,相手の星座とその形を覚えること必須です。星の数に不公平感を感じるのは,気のせいかな…?

ミロが氷河に一撃を食らわす間に,氷河はミロに15発も撃っていたということですが,ミロは黄金聖闘士なんだから,それぐらい気づけよ…。舐めてたんだろうけど。

生き死にの戦いには勝ったが…この勝負,俺の敗北だ…

文庫版『聖闘士星矢(6)』P193

この潔さがミロの良いところ。

氷河はスカーレットニードルの傷跡から血を流し,出血多量で後数分の命らしいのですが,それなもなお教皇宮に向かって進もうとするその姿にミロは心を撃たれます。

ああ…この青銅聖闘士たちが守るあの城戸沙織こそ,本当の女神なのか…。だとしたら俺たちは…。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P194

ミロに迷いが生じてます。

聖闘士は女神を守るために存在しているものであるし,女神のために戦う時は,勝利の女神ニケの加護があるわけです。

青銅聖闘士たちがここまで登って来れたのは,女神の加護があったということであり,真の女神である可能性を示しているということになります。

聖闘士星矢の世界観で理論的に考えれば,迷いが生じないわけがありません。

ミロは血止めの真央点をついて,止血します。

聖衣の上からどうやって真央点を突いたのだ?

しかも,真央点を突くと同時に氷河は意識を取り戻します。

意識取り戻すの早すぎ~!

血を止めてすぐに意識を取り戻すことなんてないでしょう。

そこはきっと,聖闘士だから…,ということにしておきましょう。

見てみたくなったからよ…。お前たちがどこまでいけるのか…この戦いの行方をな…。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P196

ミロのかっこよさがわかる名言だと思っています。

射手座の聖衣

辰巳は大熊星座激を自家用ジェット機に積んであった射手座の聖衣を持ってこさせます。

お嬢様は射手座の聖衣を本来の所有者にお返しなさるために持ってこられたのだ。

文庫版『聖闘士星矢(6)』P196

邪武たち青銅聖闘士二軍ではないけれど,「最初から出せや!」と思う。

別に,星矢たちが人馬宮に着く頃を見計らって取り出すようなものではないと思う。

星矢たちが人馬宮に到着するころ…,辰巳たちは知る由もないはずなのに,申し合わせたように人馬宮に到着するころに持ってくるとは…。

辰巳の勘が尖すぎる!

幼児虐待の過去がなければ,やはりものすごく優秀な執事なんだと思う。

射手座の聖衣箱が勝手に開いて,聖衣が飛んでいきます。

共鳴

射手座の聖衣が飛び出すと,黄金聖衣が共鳴を始めます。

十二宮にいる黄金聖闘士たちは驚きます。

幾星霜を越えて,今この時,この聖域に,すべての黄金聖衣十二体が結集したというのか!!

文庫版『聖闘士星矢(6)』P201,202

射手座の聖衣が星矢たちとともにジェット機に乗って聖域に到着したときに共鳴していなければおかしいです。

聖衣の箱の中では共鳴できないのでしょうか?

そういうことにしておきましょう。

確かに黄金聖闘士たちは,普段は聖域にはいませんが,十二体が全員集合するのに前回から数えても幾星霜なんて言う年月は経っていないと思います。

十二体が揃わずに,どうやって今まで聖戦を戦っていたのか…。幾星霜はいくらなんでも盛り過ぎだと思います。

見開きページで黄道十二星座を並べていますが,星座の順番はバラバラです。今だったら,きっと星座の順番通りに並べていたかもしれません。

射手座の聖衣は人馬宮に飛んできました。

射手座の聖衣が弓を引き,星矢の脇をかすめました。

星矢は背負っていた瞬を思わず落としてしまいます。

星矢はアイオリアとの戦いで右足を骨折しているはずですが,瞬を担いで人馬宮まで登ってきています。

足を怪我していることなんて,忘れ去られている模様。

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