第34話『さらば友よ!やすらかに眠れ』の感想ツッコミ

昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。

当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。

前回に続き,尺を稼ぐために挿入されたTVアニメオリジナルストーリーの回です。

視力を失って絶望した紫龍が,再び聖闘士として立ち上がる様子を描いたもので,オリジナルストーリーの中では人気のある話です。

目次

本編

川に服を着たまま入って,流れ行く葉っぱをパンチする王虎。すると大きな水しぶきが津波のごとく上がります。

このときのエネルギー量を計算する知識を私は持ち合わせていませんが,第1話で星矢が地面をパンチしてクレーターを作ったのよりは遥かに少ないと考えています。

落ち葉は無傷なのに,川に生息していた魚が死んで浮かび上がってくる不思議。

その魚を焚き火で焼いて食べているので,食料をとるため漁であったことがわかりますが,あのような魚の捕らえ方では,仕留めた魚が川の流れのままに流されてしまいそうなものです。

老師

王虎の野営地に老師がやってきて,切り株の上に座ります。竹林なのに,なぜか切り株があります。上からの引き絵で,かなり大きな切り株であることがわかります。

王虎や,お前は相当に腕をあげたようじゃな。

確かに,腕だけはな……

老師

これに対し,何も答えられない王虎。おそらく,全然意味が分かっていないようです。

修行の回想

今までの修行の成果を,岩を砕くことで紫龍と張り合う幼い王虎。それを老師に戒められるのですが,どうしてだめなのか王虎は理解できません。

ならば王虎よ,その川の流れを砕いてみよ。

老師

といわれて挑戦する王虎ですが,水の流れを砕くことはできません。

紫龍よ,お前をよく見ておくが良い。たとえ王虎の拳が岩をも砕く拳であろうとも,水を砕くことはできんではないか。

老師

「老師ならできるというのか?」と思う幼い紫龍。

実際,紫龍は老師の言葉に従って正しく聖闘士の修行した結果,水の流れを砕くどころか,逆流させるほどにまでなりましたからね。

老師が着衣のまま川の中に入って,流れを止めることなく穴をあける芸当を2人に見せます。パワーではなく,念動力の範疇です。

老師はこの2人に,念動力の身につけ方とか教えていないような……。

あ,でもセブンセンシズを体得する過程で念動力は身につくから良いのか。

王虎の過去

王虎は,幼き頃に野盗に家族をなぶり殺しにされたことを話します。

王虎は,ベッド下で家族が殺されていく様子を怯えながらみることしかできません。

それにしてもこの家…,ベッドしかないんですけど……。

そしてあんたに破門された後,強敵を求めて各地で戦い抜くうち,はっきり分かったんだ。敵を倒し,勝ち残ることこそ,まごうことなき真の強さだとな。

王虎

王虎の気持ちもわからなくもないですが,それって,聖闘士に求められている強さではないです。

老師にとっては,王虎が破門された理由を全く理解していないことを残念がっている様子。破門したとはいえ,元弟子のことを気にかけてくれる優しい老師です。

そればかりか,とうとう修羅にまで落ちぶれたか。悲しいことよ。

(中略)

戦うことの原点を知らぬ者の拳など,いずれ敗れ去るのみ。わしの言いたいのはそれだけじゃ。

老師

こんなことで簡単に怒りをあらわにする王虎ですが,老師の小宇宙の前に拳を振るうことができません。

黄金の小宇宙に王虎ごときが敵うわけないだろう!

紫龍の決意

一方その頃,紫龍は岩の上で座禅を組んで瞑想しています。

俺は,目の光よりも,聖闘士として最も大事なものをなくしてしまっていた。

(中略)

勝つもよし,かつての友によって負けるもよし。

紫龍

王虎と違って,紫龍は聖闘士として必要なものをちゃんと理解しています。王虎に負けたことによって,戦うことの意味を真剣に考えています。

決意を固めた紫龍は,釣り糸を垂れる老師の元を訪れます。

どうか,勝負が終わるまで,この聖衣をお預かりください。そして,私が真の龍星座にふさわしい男なら,必ずこの聖衣を取りに来るでしょう。

紫龍

なんですか,めちゃかっこいい台詞。

しかし老師から見れば,紫龍はまだ戦う本当の目的を悟りきっていないように見えるようです。「死」を意識するだけではダメだと。

戦う意味を,言葉で伝えずに自分で悟らせることに意味があります。

言葉だけではうまく表現できなかったり,上辺だけで本当に理解できていないことなんて,日常生活においても多々あります。老師の言葉が非常に重いです。

春麗,俺のために薬を…。だが俺は,二度と戻れないかもしれない。許してくれ,春麗。

紫龍

巨大な乳鉢で薬草を春麗がすりつぶしている様子を,紫龍が竹林の影から見ています。

目が見えないのに,春麗が薬をすりつぶしていることが,どうして分かるのでしょうか。

一方そのころ星矢

星矢は,ムウならなにか知っているかもしれないと,ジャミールに向かいます。

ジャミールへの道筋は,誰に教えてもらったのでしょうか?

貴鬼はもう帰ってしまっていますし,紫龍も五老峰です。貴鬼が日本に来たときに,ちゃっかり聞いていたのでしょうか。

ムウの館へ行くための谷間には,吊橋がかかっており,その下は聖衣の墓場となっているようです。

でも確か,聖衣の墓場は吊橋ではなかったはずです。いつの間にこのような吊橋に変わったのでしょうか。しかも今にも切れそうなほどにボロいです。

ボロすぎて星矢が渡る途中で落ちてしまいます。

しかしそこは星矢。崩れ行く吊橋のロープを掴んで,谷底へ落ちることだけは免れます。

紫龍vs. 王虎

ということで,整備されていないはずなのに平坦な部分がある岩場で決闘することになります。

温暖湿潤気候なので,平坦な部分は森林になっていそうなものですが,なぜか岩場です。周りには草木がありません。

王虎も紫龍と条件を合わせるために,自ら目隠しをします。条件を同じにして挑むところは,好感が持てますね。

その様子を,これまた同じ高さにある平坦な岩場からじっと見守る老師。間には谷間があります。

王虎って,爪を猫のように尖らせているんかい!

人間の爪は猫ほど強くないはずですが,王虎は爪で紫龍の体を引っ掻こうとします。普通なら,爪がもげそうな動きをしているのですが,一向にもげる気配がありません。

目が見えない両者なのに,まるで目が見えているかのような両者の戦い。二人はもみ合いになりながら,抱き合って一緒に谷底へ……。

これだけ高さのある滝から落ちたのなら,まず助からないものなのですが,傷一つなく助かっている紫龍。そして王虎。

ありえん

水の中から飛び出した王虎に,ギリギリと首を締め上げられる紫龍。そこへしずかちゃん走りで駆けつける春麗。

アニメの女の子は,どうしてこうしずかちゃん走りになるのだろうか。実際にそんな走り方をしている女の子は見たことないのですけど。

廬山昇龍覇

首をしめられつつも紫龍は体を揺らし,首を締めていた王虎の腕を蹴りでへし折ります。

片腕が折れてもなおも挑みかかる王虎に,紫龍は廬山昇龍覇を放ちますが、

なんで蹴りやねん!!

廬山昇龍覇はパンチ技だったはずでは……。

蹴りの昇龍覇を食らって吹き飛ばされる王虎ですが,血まみれになりながらも立ち上がってきます。星矢たちほどではないにしろ,打たれ強さは持ち合わせているようです。

この勝負,俺の勝ちだな紫龍。その訳はお前が一番良く知っているはず。なぜなら,昇竜覇という技はお前の小宇宙を最大限に爆発させることによって為せる技。二度は使えまい。もし使えばお前は自らの昇竜覇によって自滅することになる。

王虎

王虎の言うとおりだと言う老師。

ですが,谷を一つ隔てた距離で追うこの台詞が聞こえるなんて,なんという地獄耳!

視力と同様に,聴力も小宇宙で感じることができるようです。

紫龍に昇竜覇を撃たせて,それを頭部ではなく腹部で受け止めたのも王虎の作戦らしいです。

昇竜覇を腹部で受けても,十分致命傷になり得ると思うのは,私だけ?

お願いやめて!もう二人とも戦いをやめて!

春麗

春麗は戦う二人を見て叫びます。

老師と同様に,紫龍も谷を一つ隔てた距離で春麗の声を聞き取れる地獄耳の持ち主でもあるようです。

戦う意味

そこで走馬灯のように青銅聖闘士の仲間たちの,紫龍を応援する声が聞こえてきます。

そして戦う意味を思い出す紫龍。

もとより死は覚悟の上。だが俺には,死をかけても守らねばならぬものがある。それが今,はっきりと分かったのだ。愛する者たちの住むこの世界だ。そのために俺は戦う!

紫龍

そうそう。

地上の愛と正義のために戦うのが,女神の聖闘士

ですものね。

もちろん,紫龍の勝利に終わります。

紫龍は倒れた王虎を抱き上げて,破れた王虎の健闘を讃えます。

お前は俺にないものを見つけたのだ。老師に言われた戦う目的,原点というものをな。やっと,分かったぜ…,お前こそ真の強さを持つ男だ。

王虎

死の間際になって,やっと悟ることができた王虎。

このパターン……,この先の聖域十二宮編のシュラ戦もですよね。

戦うことの意味を死の間際になってやっと悟って,老師から破門を解除されます。が,時すでに遅しですね。

紫龍よ,お前にはもう何も教えることはなくなってしまったようじゃな。そろそろわしも自分の仕事にかかるとするか……。

老師

いや,老師…,まだ紫龍に廬山百龍覇を伝授していないですし,嘆きの壁のことも教えていないです。まだまだ教えることはありますよ。

それに,自分の仕事って,やはり冥王軍を封印したアテナの封印の監視のことですかね?

見張りという大事な仕事をサボっていたということですか?

紫龍は戦う意味を悟ることができたので,星矢たちと合流することにしました。

射手座の聖衣

星矢がジャミールの館に到着しても,ムウはおらず,なにか嫌な胸騒ぎがすると言う貴鬼。

城戸邸では,なにか呼び合うような小宇宙を感じる沙織。

聖域から射手座聖衣の胴体が,城戸邸からは聖衣箱からマスクが飛び出し,どこかで合体。水の中へと沈んでいきます。

聖衣は意思をもった生き物だということが,よくわかりますね

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