第34話『我が女神のためにの巻』の感想

ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。

目次

本編

獅子宮に立ちはだかるはアイオリア。

星矢は瞬や紫龍よりも先に獅子宮に駒を進めてアイオリアと対戦しています。

アイオリアは青銅聖闘士たちを討伐しに日本にやってきた時,沙織と会い,沙織が真の女神であると認めていたはずです。

それゆえ星矢はアイオリアが獅子宮を挨拶だけで簡単に通してくれると期待していたと思いますが,そうは簡単にことが運ぶわけがありません。

別人になったアイオリア

期待はずれになってしまった星矢は,やや混乱気味。

獅子宮が簡単に通ってしまったら,この漫画がつまらなくなってしまいます。

うう…,まるで取り付く島がないとはこのことだ。まるっきり人が違うような。一体アイオリアに何があったんだ?

文庫版『聖闘士星矢(5)』P230

アイオリアが別人化しています。

もともと脳筋過ぎて人の話に耳を貸さない傾向があるアイオリアですが,傾けることすらしていませんし,表情を変えることなく問答無用な状態です。

技名は出てきませんが,ライトニングプラズマですね。

星矢が力ずくでも突破しようとした時に,一瞬光りが見えたかと思ったら,体がズタズタ状態です。

光速の拳を受けて体がズタズタな状態で済んでいる事自体,ありえないことなんですけどね。本来なら,塵になっていてもおかしくないレベルです。

獅子宮には反逆者の弟であるアイオリアを見張っている雑兵がいます。

うせろ!おまえらのようは見張り役をおかんでも,星矢たちは必ず仕留めると教皇に伝えろ!まだこれ以上この獅子宮にモタモタしていると,おまえらもただではおかんぞ!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P233

何か不審な動きがあれば,すぐに教皇に進言できるような体制になっていたのかもしれません。こんな環境でアイオリアはずっと獅子宮を守っていたのかと思うと…,不憫でなりません。

でも,見張り役を殺ってしまったら,逆に教皇から疑いの目を向けられますよ。

アイオリアの苦悩

聖域に戻ったアイオリアの身に何かがあったらしいということを,星矢は勘付きます。これまでに星矢とアイオリアの間にそれなりの付き合いがあるから,勘付くことができたのでしょう。

星矢はアイオリアに畳み掛けるように,アテナ沙織のピンチを訴えます。12時間以内に十二宮を突破して,教皇に黄金の矢を抜いてもらわなければならないということを,星矢はアイオリアに必死に訴えます。

な…なにい女神が…。本当かそれは…!!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P234

一応アイオリアにはまだ正気が残っていて,アテナのことを気にかけてくれる素振りは見せてくれます。

しかし幻朧魔皇拳を食らっているアイオリアは,幻朧魔皇拳の効力に苦しみます。アテナのことを考えると,アイオリアのアテナへの忠誠心を蝕むかのように魔皇拳は働き,アイオリアは苦しみます。

苦しむんだけど,幻朧魔皇拳の威力には逆らえず,

言ったはずだ。この獅子宮を通るものは誰であろうと殺すと!!星矢,通りたければ俺を倒して通れ!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P235

アイオリアが獅子宮を通してくれなさそうだと分かった星矢は,やむを得ずアイオリアと戦うことになってしまいます。

しかし所詮は青銅聖闘士。黄金聖闘士とは天と地ほどの開きがあります。星矢が動く前に,アイオリアの光速拳が星矢の体を貫きます。

限りなく光速に近い拳は,無限大に近いエネルギーを持っているはずなのですが,その光速拳を受けてもなお,星矢の体が存在しているという不思議。本来なら獅子宮も無事では済まないはず(そこは突っ込んじゃダメ)。

前回は射手座の黄金聖衣のブーストがありましたが,今回はありません。素でアイオリアの領域にまで小宇宙を高めなければ,星矢に勝ち目はありません。

こういう時の星矢は強いです。

光を感じてものをみるので,光を感じた時点で拳は当たっています。視覚で見ているのではなく,小宇宙で拳の軌跡を見ています。

小宇宙を高めた星矢はアイオリアの拳を見切って,なんとかアイオリアに一発当てます。

幻朧魔皇拳

これでもはやアイオリアの良心は完全に消えた。おまえを殺すのに何のためらいも亡くなったのだ。

ペガサスよ,いわばお前は自らの手でアイオリアを悪鬼に変えてしまったのだぞ。クッククク…。

文庫版『聖闘士星矢(5)』P242

地上の愛と正義のために戦う聖闘士が良心をなくしてはいけません。

聖闘士の良心をなくすということがどういうことなのか,(偽)教皇に小一時間問い詰めたい。

カシオスとシャイナ

カシオスは徹夜でシャイナの看病を続けていました。

カシオスの献身的な看病のかいあって,意識を取り戻しました。どうやら1週間も意識不明の状態が続いていたようです。

病院にも行かず,医者にも行かず,カシオスの看病だけって,聖域の医療体制は一体どうなっているんだ?!

聖闘士なんて,戦いだけでなく普段の修行からして生と死の隣合わせで,怪我だらけ傷だらけのはずです。整形外科医が何人も欲しいような環境ではないでしょうか。

医師に見せることなく,小宇宙で治せってか?

ちょっとした怪我であれば,ムウなら治せそうです。

シャイナさんは一週間も寝込んでいたので,やや浦島太郎状態。聖域が騒がしいことに気が付きます。

星矢たちが十二宮を突破しようとしているようです。先頭の星矢が,アイオリアの獅子宮にたどり着いた頃かと…。

文庫版『聖闘士星矢(5)P243,244

シャイナはアイオリアが日本で女神に忠誠を誓ったことを知っているので,ホッとします。しかし,それは1週間前のアイオリアだったらの話。

アイオリアは教皇の幻朧魔皇拳におかされているのですよ!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P244

幻朧魔皇拳は(偽)教皇であるサガの技です。真の教皇であるシオンは幻朧魔皇拳を使えません

疑問に思った側近はいなかったのでしょうか?

気づくだろう,普通。(真の)教皇はこんな技を使わないことぐらい。

幻朧魔皇拳

アイオリアがそんなに簡単に幻朧魔皇拳を受けるわけがないだろう,というシャイナさんの問に対し,カシオスは丁寧に答えていきます。

怪我をしたシャイナさんの手当をカシオスに丸投げした足でそのまま教皇の間へと向かったこと。

ムウほどではないにしろ,黄金聖闘士はみんなそれなりに念動力を使えるのだから,シャイナの怪我を多少なりともアイオリアだって治せるのではないでしょうか?自信がないのかな?

アイオリアが教皇の間に行くと,そこにはシャカが待ち受けていて…。

シャカは何用で教皇の間に?勅の報告かな?

とにかく,教皇の間でアイオリアとシャカが千日戦争の状態に陥ってしまいました。

一瞬のスキが命取りとなります。

お互いがお互いに全神経を集中させてしまっており,それはすなわち教皇に対してはスキとなってしまいます。そのスキを狙って教皇は幻朧魔皇拳をアイオリアに放ちます。

カシオスはアイオリアの身に起こったことを自分の目で見たかのようにシャイナに詳細に話しています。

カシオスはアイオリアに託されたシャイナの看病をとりあえずほっぽりだして,アイオリアの後を追いかけて教皇の間へ行ったとしか考えられません。

アイオリアが幻朧魔皇拳を受けた瞬間,シャカに対してはスキになるはずです。

しかしシャカはそんなアイオリアに対して攻撃を仕掛けないのが,不自然でなりません。

苦しそうだな,アイオリア。それもそのはず,今のお前にはまだ良心というものが20%は残っている。それがお前の心のなかで葛藤しているからだ。

(中略)

敵の攻撃を受けた時,まさしくそれが引き金となり,お前は悪鬼に変身するのだ。目の前の敵が死なぬ限り,幻朧魔皇拳の災いが覚めることはない。

文庫版『聖闘士星矢(5)』P249

アイオリアにこんな極悪非道な幻朧魔皇拳を仕掛けるなんて,どう見ても教皇は正義ではないだろう!

シャカは現場にいて気づかなかったのかい!

目を開けてちゃんと見ろ!とシャカに言いたい……。

シャイナさんが獅子宮に行って身代わりになろうとした時,カシオスはシャイナを気絶させて止めます。

数少ない聖闘士の女子の中でも,あなたの戦闘能力は男顔負けのものでした。でもやはりあなたは女の人…。

このカシオス,シャイナさんには生きて幸福をつかんでもらいたいのです…!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P251

見てくれはあれだが,心根は優しいカシオスです。

悪鬼アイオリア

星矢の蹴りを食らったアイオリアは,完全に目つきが変わってしまいました。目つきどころか,醸し出すオーラが完全に殺気立っている状態です。

アイオリアが持っている悪の心な良心に比べたら僅かなものだとは思いますが,戦士として良心がなくなると殺人鬼のような闘争心だけが表に出てくるのでしょう。

今まで何度か敵として相対していても,アイオリアからは男の温かさみたいなものが感じられた。アイオリアは仁智勇を備えた聖闘士の鏡のような男だったはず…。

文庫版『聖闘士星矢(5)』P255

何度かって,アイオリアと相対するのは2回めですけど。仁智勇を備えているかと言われると,勇ばかりが突出しているような気もします。

追いついたカシオス

シャイナを置いて獅子宮へと向かったカシオスですが,いつの間にか紫龍と瞬を追い抜いて,2人を待ち受けています。

雑兵が青銅聖闘士を追い抜いて待ち伏せしています。

紫龍と瞬は巨蟹宮から獅子宮への移動ですが,カシオスは家を出て白羊宮・金牛宮・双児宮・巨蟹宮から獅子宮への大移動です。

しかも,紫龍と瞬はカシオスに追い抜かれてしまっていることに気づいていません。

青銅聖闘士2人を出し抜いているのだから,カシオスはペガサスを目指さなければ普通に聖闘士になれなのではないでしょうか?

アイオリアに星矢がボロボロにされているところにカシオスが登場します。

星矢に恨み節を言うカシオスですが,カシオスの目的はアイオリアを止めること。

アイオリアは教皇の幻朧魔皇拳にやられて洗脳された状態なのだ!目の前で人が死なん限り,元のアイオリアには戻らんのだ!はやく!ここは俺に任せて早くいけーーっ!

文庫版『聖闘士星矢(5)』P268

雑兵のカシオスが黄金聖闘士のアイオリアに叶うわけがありませんが,カシオスの目的はアイオリアを倒すことではないため,そこは問題になりません。

次の瞬間,カシオスは両腕を自分の腹に打ち込んで,自害します。

自分の腹をパンチして,自害できるものなのか…。

聖闘士になれなかったとはいえ,亜音速の拳ぐらいは繰り出せたと考えれば,できるのかな?

それにしても…,享年15歳……。悲しすぎる人生です…。

お前が死ぬと,悲しむ人がいるんでな…。別にお前のためじゃない。その人が悲しむことのほうが,俺にとっては一番つらいことなのだ…。俺にとっての女神とは,あの人のことなのだ…。

文庫版『聖闘士星矢(5)』P271

青春ですね。悲しいですけど…。

目を覚ませ!アイオリア

死のうとしているカシオスを見てもまだ目が醒めないアイオリアに対し,星矢の小宇宙が爆発します。

カシオスの思いが星矢の小宇宙に働きかけたのでしょう。

星矢のペガサス流星拳を受けて,やっと目を覚ますアイオリア。

アイオリアがもとに戻ったことを確認し,カシオスの元に駆け寄るも,カシオスはすでに事切れていました。

シャイナさんが目を覚ました時,カシオスがいなくなっていたことを悲しむだろうな。アイオリアを責めたりするのだろうか…。

十二宮の戦いが終わって,カシオスの最期を知った時,アイオリアの胸をポカポカ殴りながら涙するシャイナさんを想像してしまいました。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 原作アイオリアまできてますねー!
    いい場面ですね。

    カシオス15歳は衝撃の事実でした。
    星矢たちが13歳とか14歳だから、カシオスも、、、なんですね。
    知りませんでした。
    悲しい場面なのに笑える!

    いつの間にか十二宮を登ったり、追越したり、ときどきありますよね。
    前後どうなったのかよく分からないことあります。
    イッキも急に処女宮に現れるし、あんなに時間かかった十二宮を沙織さんはあっという間にサガのとこまで来ますよね。

    冥王十二宮編だと、カノンはミロに(多分他の黄金にも)気づかれずに沙織さんとこまで行ってる?てことですよね。
    星矢がパピヨン通り過ぎて、フラフラしてたら、先に行った氷河たちに起こされるし。(アニメだけ?)
    ムウも後から行ったのに、いつの間にか処女宮の沙羅双樹の園の門前にいて、星矢やアイオリアたちを止めてるし。
    (アニメの方しかみてませんので、原作はわかりません)

    色々気になりますが、答えはないですね。
    私が悟り切れていないせいなのか、、、それとも、、、(シャカ風)笑

    • この漫画で年齢のことを突っ込んじゃいけない…w
      でも年齢設定おかしすぎて,やはり突っ込みなくなるw

      いつの間にか追い越しているのも,
      ファンにとっては突っ込みどころです。

      十二宮の防御は一体どうなっている?

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