第18話『デスクイーン島の追憶の巻』の感想

ツッコミ,感想,ネタバレありです。ネタバレO.K.の方のみ御覧ください。古い作品なので,ネタバレも何もないかもしれませんが,一応忠告しておきます。漫画の話とわかっていても,科学的に突っ込みたくなることってありますよね。

当サイトは文庫版を読み返して書いています。

この回は,連載時は日本から聖域に帰ったアイオリアが教皇の間に乗り込むときに読み切りで掲載された『シャカ』です。単行本でも,黄金聖闘士編に挿入されていたように記憶しています。

しかし,単行本では暗黒聖闘士編のここに挿入されています。

文庫版での順番であることを予めご了承ください。連載時と単行本では順番が異なっています。

目次

本編

デスクイーン島は西ノ島よろしく火山島です。特殊な生物以外は生息できるような環境ではありません

ヒトはおろか,一部の微生物を除いて生息できないはずの火山島に,暗黒聖闘士のアジトがあります。暗黒聖闘士のアジトどころか,一輝の修行地があり,農家とその農家に小麦粉3袋で売られたエスメラルダが生活しています。

いつ火山性ガスや火砕流が襲ってきてもおかしくないような場所に,ヒトが生活しているというのが驚くべきことですし,ありえません。

火山島という狭い環境の中で,一輝と農民との交流はあっても,一輝が聖闘士の資格を取得するまで暗黒聖闘士と一輝たちは交わることなく棲み分けがなされていたようです。

暗黒聖闘士のアジトへ

一輝は鳳凰座の聖闘士の資格を得たとは言え,聖衣はありません。聖衣は暗黒神との首領であるジャンゴがもっています。

聖衣を持っていたとしても,聖衣は資格がないと纏えないので,ジャンゴは何のために聖衣を持っていたのかは謎です。いつかは正式な聖闘士になって,鳳凰星座の聖衣を纏おうと考えていたのかもしれません。

何年修行しようが青銅聖闘士にもなれなかった能無しがお前たちだ。暗黒聖闘士,いわばお前らは聖闘士の落ちこぼれ,クズの集まりよ。by 一輝

文庫版『聖闘士星矢(3)』P41

一輝の言うとおりですね。

聖域なら雑兵ぐらいにはなれたのでしょうけど,ひょうっとして雑兵にすらなれずにグレてしまったのが暗黒聖闘士なのかもしれません。

聖闘士にもなれず,だからといって雑兵になるのも嫌。でも戦うことしか知らないから,一般社会でいきていくのは無理。仕方なく暗黒聖闘士として生きているのかも。

暗黒聖闘士になると生物が住むには過酷なデスクイーン島に住む羽目になってしまうけれど,こいつらにとって一般社会で生活するよりか楽なのかもしれないですね。

こ…こいつ,女神さえも見放した暗黒聖闘士の恐ろしさを教えてやる!by 暗黒聖闘士の雑魚

文庫版『聖闘士星矢(3)』P41

なんて言っていますが,女神に見放されたのではなくて,雑魚すぎて,相手にされなかっただけのような気がします。

実際,暗黒聖闘士の雑魚たちは,青銅聖闘士になりたてで聖衣すら纏っていない一輝の鳳翼天翔一発で,吹っ飛んでいきましたからね。弱すぎます。

暗黒スワン

一輝は暗黒四天王のうち最初に暗黒スワンと対峙します。暗黒吹雪は氷河の皮1枚を凍りつかせることができましたが,一輝は食らう前に凍気を押し戻してしまいます。

空気の流れを両腕の手のひらだけでどうやって押し戻しているのでしょうかね。そこは小宇宙で壁を作って押し戻しているということで。

暗黒スワンから暗黒聖闘士の首領であるジャンゴと鳳凰星座の聖衣のある場所を聞き出します。

倒されただけで首領の居場所を簡単にしゃべってしまう暗黒スワンもどうかと思います。首領に対する忠誠心が全く無かったとしか思えません。口が軽すぎます。

ジャンゴは火口にいるということですが,有毒な火山ガスが蔓延する火口にガスマスク無しでいても平気とは,どんな体をしているのでしょうね。

エスメラルダ

一輝は火山岩に咲く花を1輪見つけ,エスメラルダを思い出します。

溶岩が固まったばかりの土地にはまだ土が生成されていません。それに河口近くは高温なので,特殊な細菌ぐらいしか生息できないはずです。誰かが植えたと考えるのが妥当でしょう。

ここにいるのは暗黒聖闘士ですから,暗黒聖闘士に花を愛でるのが趣味の人がいたのでしょう。うん,きっとそうだ。

エスメラルダは小麦粉3袋でデスクイーン等の数少ない農家に売られてきました。しかも7歳で売られています。明らかに児童労働ですね。場合によっては幼子妻だっか可能性も否定できません。

エスメラルダの家はあまりにも貧しい家の出身とありますが,ここは南国の島です。南国の島なら,農業ではなく漁業で生計を立てるということを考えなかったのでしょうかね。

主人に鞭打たれるエスメラルダをかばって主人を殴る一輝。エスメラルダに家族の元へ帰るように促しますが,エスメラルダは一輝が鳳凰星座として羽ばたく日を見るために残ることを伝えます。

ですよ,

憎しみ

一輝は暗黒アンドロメダを倒したとき,

そ…そんな目をした人間は暗黒聖闘士の中にもいない。ま…まるで憎しみ…。そうだ,お前の目には憎しみの色しかうつっていない。by 暗黒アンドロメダ

文庫版『聖闘士星矢(3)』P52

父親は城戸光政

一輝は師匠のギルティを倒したとき,師匠から自分の父親が城戸光政であるという事実を聞かされます。一輝と瞬の兄弟どころか,聖闘士になるために集められた100人の孤児たち全員が城戸光政の子供であることを知らされます。

城戸光政が集めた孤児たちが城戸光政の子供であるという情報と,城戸光政が5年前にすでに亡くなっているという情報を,ギルティはどこで知ったのでしょうか。

グラード財団とギルティが繋がっており,定期的に連絡を取り合って,一輝の修行状況を確認していたのでしょう。連絡を取り合っていたと考えられますが,星矢の聖域のように,連絡が取りづらいところは魔鈴個人と繋がっていたのかもしれません。

一輝は父親の真実を聞いて,怒りが爆発します。

心理学的には,完全に父親を憎むということは考えにくいです。心の何処かで,父親への愛情は持っているはずです。父親と知ることで,憎み切るということはできなくなっているはずですが,ここでは置いておきましょう。

一人の男を憎むあまり,その男と繋がっている者すべてを抹殺しようとするのは,飛躍しすぎです。短絡すぎです。

ジャンゴ

一輝は暗黒聖闘士の首領ジャンゴのもとへたどり着きます。部下である暗黒四天王は聖衣のまがい物を身に着けていたからには,ボスであるジャンゴはさぞかし立派な……,とはならず雑兵服です。それもトゲトゲのついたダサい雑兵服です。

暗黒四天王はこんなのに使えていたのかと思うと,泣けてきます。

実際,一輝に暗黒四天王のほうが手応えがあったと言われています。

力だけでなく頭も弱かったと見えて,鳳凰幻魔拳をあっさり受けて,更に後ろ向きでの一払いで飛ばされるというやられかたです。

そんなこんなで鳳凰星座の聖衣を手に入れた一輝は,早速聖衣を纏います。

シャカ

私の名はシャカ!!孫悟空は自分が最強と思い込み,仏陀の手のひらの上で走り回ったというが…,フッ,きみはまさしくそれだな。

文庫版『聖闘士星矢(3)』P63

シャカの初登場です。空を歩いてやってきています。黄金聖闘士とも慣れば,空中を歩けるようになるんですね。

そんなシャカの言葉にカチンのきた一輝はシャカに鳳翼天翔を放ちますが,シャカにとってはただの涼風のよう。マントをひらりと軽く翻しただけで交わしてしまいます。

さすがは黄金聖闘士です。青銅や暗黒聖闘士など,黄金の前では手のひらの猿と言い切ってしまっています。そんなシャカが好き。

Ωの一言で,一輝をふっとばして,シャカはトドメを刺そうとしたのだけれど,

君の目に,もし悪魔の心がやどっていたら,この場で殺そうと思ったが…,不思議なことに君の目には一点の曇もない…。凡人にはわからんだろうが…。君は正義の心を無理やり奥底へしまおうとしている。可愛いものよ,フッ。

文庫版『聖闘士星矢(3)』P67

この言葉は後でまた出てきますね。大事なポイントです。殺さずに生かしておくというのも,大事なポイントです。そんなシャカが大好きです。

シャカの人となりを表す言葉でもあります。

最後の一輝の記憶を消して,シャカは去っていきます。登場したときと同じように,空中を歩いて去っていきます。そして消えます。テレポーテーションをして移動したのでしょうね。

暗黒聖闘士の首領へ

エスメラルダの亡骸は,家族の元へ返されることなく,一輝が岬の先へ埋めたようです。勝手に墓が立てられています。日本では死体遺棄罪になりますが,この島にはこのような法律は存在しないと思われるので,問題ないでしょう。

鳳凰星座の聖衣を手にしれた一輝は,エスメラルダの墓に報告に行きます。

一輝に倒されたはずの暗黒聖闘士がピンピンしています。ジャンゴ以外には,あまり手痛いことをしていなかったのかもしれません。傷がいつの間にな治っているように感じます。

いつの間にか傷が治った暗黒聖闘士たちは,一輝に忠誠を誓います。ジャンゴへの誓いは一体何だったのかと考えさせられるほどの変わりようです。

一度裏切ったものは再び裏切るという言葉を一輝は知らないのでしょうか。まあ,暗黒四天王は一輝を裏切ることはありませんでしたけどね。

手下を手に入れた一輝はこの後日本へ行って,銀河戦争の邪魔をすることになります。まだ白銀聖闘士のことも,黄金聖衣の秘密も知らない頭なので,平和ですね。

それにしても,一輝はグラード財団負担でしょうが,暗黒四天王や雑魚の一輝の影たちはどうやってデスクイーン島から日本へ渡ったのでしょうか。おそらく船や飛行機を乗り継いで行くことになるのでしょうけど……。

白銀聖闘士や黄金聖闘士のような,テレポーテーション能力なんて,持ち合わせていないはず…。

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