昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。
当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。
本編
崖下に落ちた星矢を助けに行く瞬。星矢はもうすでに皮膚がほとんど真っ黒に変色しています。暗黒ペガサスと戦ってから,すでに半日以上は経過していると思われます。
明け方殺生谷に着いて早々暗黒ペガサスと戦って黒死拳を食らったと仮定するならば,ときはすでに夕刻のはずです。ですが空の色は昼間です。
暗黒アンドロメダによる黒死拳の説明から,10時間以上は経っていないとおかしいことになります。
一方,紫龍は崖上で暗黒ドラゴンとの戦いを始めます。
余裕のある暗黒ドラゴンに対し,血が足りなくてフラフラの紫龍です。
献血で200~400mLの血液を抜かれた後,部活動などの運動をすると死ぬかと思うほどの状態になります。ゆえに献血の後は激しい運動を避けるように忠告されます。
ましてや,体の半分の血を失って1週間しか経っていない紫龍なんて,本当は立っているのもやっとの状態のはずです。聖闘士とは言え,人間であることに変わりはありません。
そういえば,原作では瞬の鎖が異常な動きをして,瞬は紫龍に「伏龍に気をつけろ」という忠告をしますが,TVアニメではそのような描写はありません。
出血は命取り
暗黒ドラゴンと戦う紫龍ですが,暗黒ドラゴンの動きについていくのがやっとの紫龍です。暗黒ドラゴンからの拳で,あっけなく額から血を流すことになってしまいます。
あなたの体内には,もはや血液の1/3しかありません。かすり傷でもつけたら,命に関わりますよ。
ジャミールでの回想シーンでのムウ様の言葉
原作では半分となっていた血液が,TVアニメではさらに血液が減って1/3になってしまっています。普通に死んでます。足りないどころではありません。殺生谷に来る前に,グラード財団系列の病院に行って輸血をしてもらうべきレベルです。
紫龍は戦えるような状態ではありませんが,果敢に立ち向かっていく紫龍です。暗黒ドラゴンの相手になっていなくて,一方的にやられています。
すでに血だらけです。かすり傷どころではありません。
原作では暗黒ドラゴンの兄である伏竜が暗闇の中で暗黒ドラゴンに指示を出していました。TVアニメには暗闇はありません。明るい空間で戦っています。
伏竜の存在があって紫龍がやられるのではなく,血が足りないがゆえに紫龍がボコボコにされるという描写に変わっています。
だから瞬の「伏竜に気をつけろ」の描写もなくなっているんですね。
ここまでのウォーミングアップから,暗黒ドラゴンは指一本で紫龍を倒すと言ってきます。指一本と言っても,聖闘士星矢世界では単なるデコピンではなく,しっかり腕を振りかぶって突くんですよね。よく突き指しないものだと思います。
血が足りない
流石だな。君じゃあない。今の一撃でさえヒビ一つはいらない,修復したムウの技術がだ。
暗黒ドラゴン
暗黒ドラゴンは,龍星座聖衣をムウに修復してもらったという事実を,どこで知ったのでしょうか?
星矢が暗黒ペガサスを前にして話したことは合っても,その場に暗黒ドラゴンはいなかったはずです。紫龍が聖衣を修復してもらうためにジャミールへ赴いたなどということは,機密情報ではないでしょうか。
加えて,聖衣を修復できる男ムウのことを,どこで知ったのでしょうか。
少なくとも青銅一軍の中では,紫龍以外知らなかったように見えます。暗黒聖闘士ごときがどこからそのような情報を仕入れたのでしょうか。
君は体内の血液が極度に足りないのだな。だからあれほど傷口をかばい,あんな無様な攻撃しかできなかった。そんな体で,何のためにこんな戦いの場へ。
暗黒ドラゴン
友情のためだ。ムダなこととは分かっていてもせずにはいられない。それが友情というもの。
紫龍
紫龍の台詞に,瞬が鳴らす鈴の音が重なります。
なかなかいい描写ですけれど,「友情のために友には死んでほしくない」と思うのも友情だと思います。時々そのへんが欠如していますね。
友情は幻影と言い切ってしまう暗黒ドラゴン。
友情とはなにか
鎖を伝って,崖下の星矢の元へ降りていく瞬です。瞬ならもっと早く降りることはできるはずですが,ずいぶんとゆっくり降りています。崩れやすい地盤であるがゆえに,慎重なのかもしれません。
瞬の鎖を断ち切ろうとする暗黒ドラゴンです。
昇龍覇を打ってはならぬ時
おまえの体力が著しく低下しているときは,打ってはならぬのじゃ。(中略)全身の血を沸騰させ,逆流させながら体内の小宇宙を最大に爆発させることによって初めてなせる技。(中略)すべての毛細血管が破れ,全身から血を吹き出すであろう。
紫龍の回想中の老師
聖衣が重く感じる紫龍です。
血が極端に足りなく,本来であれば立っているのがやっとの状態のはずです。聖衣は,小宇宙が燃えている状態では跳ねのように軽く,そうでないときは鉛のように重たく感じる鎧です。
今の紫龍は,聖衣が重くて仕方がありません。
紫龍は,昇龍覇を打つために,聖衣を脱ぎ捨てます。その下から,全身血だらけの紫龍が現れます。
原作にはありませんでしたが,TVアニメでは聖衣を脱ぎ捨てた理由として,聖衣が重たいという表現がなされています。しかし,聖衣を脱ぎ捨てたほうが小宇宙が燃えるというのは変わっていません。何のための聖衣なんでしょう。
目を閉じて 思い出すのさ
空高く 駆けた日々
悲しみの ベールを脱いで
……
この生命 果てるときも
静かに 笑える
……
Cant’ say you good bey my friend
Can’t say you any more
……
挿入歌が泣ける。
今まで俺が戦った中でも,おそらく最強の敵だった。
紫龍
そう言ってその場に血を流して倒れる紫龍です。今まで戦った中って,まだ星矢と暗黒聖闘士の雑魚としか戦ってないはずです。練習試合ぐらいはあったのかもしれませんが。
友情を信じて
紫龍の少流派で岩盤にのめり込んだ暗黒ドラゴンですが,最後の力を振り絞って,岩盤から出てきます。紫龍は恐怖を抱くほどの気迫です。
しかしその気迫は,紫龍を助けるためでした。紫龍の真央点を突いて,紫龍を助けます。友情を信じてみたくなって,紫龍を助けます。
血止めの真央点は,自分自身で突けそうな位置にあって突けない位置にあるのですね。自分で突けるのなら,突いてますから。
星命点
黒死拳にやられて真っ黒に変色した星矢に対し,星命点を突き始めます。突然の紫龍の行動に驚く瞬ですが,星命点の話に納得します。
聖闘士にとって自分の星座の形がそのまま自分の急所を現している。それを星命点というのだ。星矢の守護星座はペガサス。その星命点は全部で13だ。悪い血が流れきった後は,自然に止まるはずだ。
紫龍
星矢も一体どれだけの血を流しているんだか。
星矢の回復を待たずに,黄金聖衣を持って先に進む瞬と紫龍です。
この段階で,紫龍の体内にある血液が足りないという設定は,どこかへすっ飛んでしまいます。普通に歩いています。
一輝
瞬の鎖が反応して,一輝の存在を知らせます。
そこに一輝が登場し,白鳥星座は心臓を貫かれて死んだと言います。
紫龍は兄が相手ではやりにくかろうと自分が戦おうとしますが,瞬の鎖に絡め取られてしまいます。原作では腹パンで紫龍を気絶させていましたが,TVアニメでは鎖でぐるぐる巻きにしてから頭を鎖で殴らせて気絶させています。
土下座して謝る瞬をけとばして,とどめを刺そうとする一輝に対し,星矢が流星拳を放ちながら登場します。原作にはないかっこいい登場の仕方です。
さらに流星拳をはなとうとする星矢ですが,足元がおぼつかずに転んでしまいます。星矢も大量出血をしているはずですから,血が足りないはずです。フラフラです。
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