昔のアニメなので今更ネタバレもなにもないのですが,一応ネタバレO.K.の方のみご覧ください。リアルタイムでTVアニメを見ていました。今再び原作と映像を見直して,感想を述べたいと思います。
当時はアニメが原作に追いついてしまったがゆえに,アニメオリジナルのエピソードが挿入され,それがまた原作との矛盾を生み出し,原作以上にツッコミどころ満載の作品となりました。ツッコミを入れながら楽しめるのも,この作品の良いところでもあります。
本編
ヨットハーバーの屋根裏部屋にある星矢の部屋を沙織お嬢様が訪れます。この屋根裏部屋は,グラード財団が用意したものでしょうか。
13歳にして一人暮らしは,いろいろと問題がありそうな気がしますが,きっとグラード財団が保証人になってくれているから大丈夫なのでしょう。
朝の身支度中で上半身裸のまま玄関ドアの呼び鈴に応対する星矢(13歳)に,頬を赤らめる沙織(13歳)です。沙織の訪問に,慌てて音速で部屋の片づけと掃除をする星矢です。その慌てぶりが,お笑い担当の星矢らしいです。
暗黒聖闘士からの挑戦状
沙織が星矢のもとを訪れた理由は,城戸邸に一輝からの挑戦状が届いたからでした。
時,一週間後。場所,北アルプス立山連峰殺生谷にて待つ。もちろん,互いに黄金聖衣持参のこと。
原作の富士山麓青木ヶ原十風穴のままでも良かったと思うのですが,なぜ場所を立山連峰殺生谷に変更したのでしょうか。必要性がわかりません。謎です。なお,殺生谷は架空の地名だとおもいます。
一刻も早く紫龍に戻ってもらわねば,ペガサス,ドラゴン,2つの聖衣を修復して……。
という沙織の発言に対し,星矢は反発します。「お前は聖衣のことしか考えてないのか!」って。
紫龍のことももちろんだけど,あたしが心配なのは,星矢,あなたのことなんです。
アニメで沙織が初登場したときは,星矢のことをお前呼ばわりしていたのに,ずいぶんと視線が下がってきたものです。光政翁のホログラフの言葉が,よほど効いたとみえます。
あまりの変化に,星矢自身も戸惑っています。
期限までに聖衣が戻らなかった場合,生身の体で戦うことを気遣う沙織です。その表情は優しいです。原作ではそのような表情を見せることはありません。原作で優しげな表情を見せるようになるのは,ずっと後のことです。
一方その頃,中国五老峰
うそうそ,鷲が危篤なぞ,真っ赤な嘘じゃよ。
危篤と聞いて急いで帰ってきた紫龍にしてみれば,怒って当然です。ピンピンしています。しかし,星矢との戦いに破れてしまったことから,心の弱さを突かれます。
紫龍よ!戦いとは無心,そして集中力!
耳に痛い言葉ですわ。別にアニメの中の世界だけではなくて,リアル世界におけるスポーツの試合でも言えることですよね。結構簡単に集中力が途切れてしまったりして,負けて悔しい思いをすることは数知れず……。
紫龍の,「恩師が危篤状態で平静でいられる人間がこの世におりましょうか!」という言葉もわからなくはないです。それが普通の人間の反応です。
立ち上がった老師
原作では座したままほとんど動かない老師ですが,アニメでは動きます。聖衣を修復してもらいに,ムウのところへ行くという紫龍の決意を汲み取ってのことです。
お主がムウのところへ行けるかどうか,今からわしが試してやろう
老師の特訓を受ける紫龍です。老師は念動力で,水の槍を紫龍めがけて飛ばします。
最初は前後左右に動きながら攻撃を交わす紫龍です。次は前へ前へとだけ交わしきれるかと,次の段階の特訓へと移ります。前後左右に動ける場合と違って,流石にハードです。
あまりのハードさに,蘇ったばかりの心臓を心配して春麗が止めますが,紫龍は友との約束を果たすためと言って再び立ち上がります。
ジャミールへ
老師の特訓を受けたあと,わずか3日で中国の五老峰から中国とインド国境付近のジャミールへとたどり着く紫龍です。どんだけ足が早いんだよ。とゆうまで老師がテレポートさせたとしか思えません。
相変わらず,軽装備の紫龍です。6000mを超える高山地帯を歩く服装ではありません。非常食も持っていません。持っているのは,ペガサスとドラゴンの聖衣だけです。
聖衣の墓場
辺り一帯に濃霧が立ち込めます。紫龍は同じところをぐるぐると周り,道に迷ったのではないかと思いはじめます。
そして紫龍がとった行動は,パンチで霧を晴らすこと。パンチで切りは晴れんだろうと思うのですが,薄くはなるようです。
そして底に広がる無数の骸骨たち。聖衣の墓場です。
さあ,お前の目指すムウ様の館はこの先にある。見事我らの包囲網をとおりぬければ,そこへたどり着けるというわけだ。フハハハハハハハハ!
セリフは原作とほとんど同じですね。先に髑髏が舞い踊って,そこに体がくっついて人型になる表現は良いですね。
しかも一部骸骨聖闘士が巨大化なんかもしています。亡霊っぽくていいです。
骸骨聖闘士の攻撃が,統制が取れているのが笑えます。合体技なんかも使ってきます。
紫龍が老師の「たとえ何があっても,前へ前へと進むのじゃ!」の言葉を思い出す前に,骸骨聖闘士を殴ったり蹴ったりする過程で多少左右に動いているようにも見えるのですが,そこを突き詰めてはいけません。前斜め右みたいな感じで,一応前へ動いているということで,良しとしておきましょう。
「前へ,前へ」を意識するあまり,骸骨聖闘士の攻撃をそこそこ食らう紫龍です。
ここでやっと思い出すのが,
老師直伝の秘技,廬山龍飛翔!
最初から使えよ。空気が薄くて頭の回転が鈍っていて思い出すのに時間がかかったということにしておきましょう。
聖衣の墓場を抜けると,そこは細い道で両サイドは幽谷であったことが露わになります。
ムウの館
紫龍はやっとのおもいでムウの館に到着します。原作とは違い,アニメのムウの館にはひびが入っていません。きれいです。
原作では,いきなり岩が宙を飛んで紫龍に襲いかかりましたが,アニメでは紫龍は礼儀正しくまずは挨拶をしています。
私は日本から来た紫龍というものです。館の主にお目にかかりたい。
周りには家らしいものは一見もなく,ここしかなかったからここがムウの館だと確信したのでしょう。何軒もあったら,どれがムウの館なのか分かりません。
岩の突出部に立つ館です。ただの館ではないことはすぐに分かります。どう見ても城(砦)です。敵を寄せ付けない場所に立っています。
挨拶をした後に,貴鬼がテレキネシスでいたずらします。そんな悪戯を一蹴する紫龍です。
貴鬼が館の上層階の窓に座って紫龍の様子を見ているのですが,この館,その描写から,この館,実はなかなか巨大であることが分かります。窓は小さいですが,巨大です。ベランダが広いです。
紫龍は貴鬼の挑発に対し,小宇宙を高めて館の1階部分をだるま落としよろしく吹き飛ばします。原作よりもきれいに1階部分だけが吹き飛びます。1階と2階の間には,つなぎ目でもあるかのような切れ方です。
ムウ様登場
そこだよそこ!ほらぁ,さっきからお前の隣にいらっしゃるじゃないか。
紫龍はムウの姿を探しますが,どこにもいません。
透明人間が姿を点滅させて現れるような登場の仕方です。原作では光の中から登場するような感じでしたが,アニメでは,透明人間か!というような登場の仕方です。
この男,影や形は愚か,気配すら感じさせなかった。人間業ではない。まさに,まさに恐るべき。
まぁ,ムウ様は怒らせたら怖い人ではありますが,位は老師と同じ黄金聖闘士だよ。恐るべき人であることは間違いありません。
私がムウですが,なにかごようですか。
原作の「なんですか,騒々しい…」のセリフは消えています。しかし,この「私がムウですが,なにかごようですか」の物言いは,ものすごく気品があって,上品で,館を壊されたにもかかわらず落ち着きがあって……。
声優の塩沢兼人さんの演技もありますが,リアルタイムで見ていたときに,この一言でムウ様に惚れました。
死んだ聖衣は灰色で,色がなくなっていますね。この表現はいいと思いました。
残念ながら,この聖衣の修復は無理です
と言って,自分の館をテレキネシスでもとに戻します。それから聖衣が死んでいることの説明をはじめます。原作と順番が逆になっていますが,アニメの順番のほうが説得力がありますね。
この館には私の命が吹き込んである。つまり生きているんです。だからご覧のようにテレキネシスを発動させれば元に戻ったわけですが,だが,その聖衣は死んでいます。聖衣にも命というものがあるんです。一度死んだ聖衣は,いかにこのムウでももとに戻すことは不可能です。
貴鬼が動かした岩にまで命を吹き込んではいないと思うけど。原作でも,館にムウの命を吹き込んであるなんて言う行はありませんけれど。
館に命が吹き込んであるなんていうのは,アニメ独自の設定ですね。
それでもなんとかならないのかと,土下座をして聖衣の修復をお願いする紫龍です。聖衣を蘇らせるには,命が必要だです。
文字通りあなたが命をかける。そして多分,いや,十中八九あなたは死ぬことになるでしょう。どうします?それを承知でかけてみます?命を
覚悟を決める紫龍です。
星矢の夢
さすがに紫龍の生首が飛んで……,なんていう表現をTVアニメで放送するわけにはいきません。
死ね!紫龍
のムウの叫び声とともに,紫龍が崖から落ちていく表現に差し替えられています。
このでもムウの叫び声は,『北斗の拳』の南斗水鳥拳のレイを彷彿とさせます。まぁ,中の人が同じですから。山崎たくみさんではこの叫び声は出来ません。
悪夢にうなされて飛び起きる星矢を,原作では瞬が慰めていますが,アニメでは誰もいません。
アニメでは,そんな夢を見ながらも朝日に向かって「打倒!暗黒聖闘士!」を誓う星矢になっています。
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